これが「幸せ」の姿!



 先の日曜日、帰宅してテーブルの上にあった新聞の山を見ていたら、その日の『河北新報 第2朝刊(=子供用の新聞)』というものに目が止まった。私もよく知る今春の宮水卒業生・遠藤裕太郎君が取り上げられ、大きな写真が載っているではないか。見出しには、「海の仕事が好きだから」と書いてある。

 震災で自宅も漁具も大きな被害を受けた中で、あえて父と一緒に漁をするために牡鹿半島の浜に残った。「海が好きだから」「お父さんと船に乗りたい」というのがその動機だとある。そして結びは、「自分は何が好き?−将来の仕事を考える時も、それが一番大切だね。」だ。いかにも子供用の教育的な読み物だ。

 私には、さほど長くないその記事よりも、写真のインパクトが大きかった。親子共々、なんといういい笑顔だろう。親は、息子が浜に残り、自分たちと一緒に仕事をしてくれることを喜び、息子は、自分の好きな道に進み、今の仕事が楽しくて仕方がないという風情だ。親は、高校を卒業して漁師になった伸び盛りの息子が頼もしく、息子は、海の仕事の大先輩として父親を敬い、教えを受ける。

 なんだか、こちらまで幸せになってくるような写真だ。そう、幸せというのはこういうものなのだろう。すなわち、高い地位に就いたり、大金持ちになったりしなくても、有名な会社や大学に入らなくても、家族が深い信頼関係をもって結びつき、ささやかな日々の生活に喜びを見出し、それを享受することなのだ。新聞を飾る写真の中に、そんな事が見える。そのうち、卒業してさらに成長した裕太郎に会いに行ってみよう。