「感謝」という大きな進歩



(1月24日付学級通信より)


 知人である医師Oさんが、第54次南極越冬隊のメンバーとして南極に行っている。昭和基地に到着して1ヶ月、まるで近くにいるかのように普通にメールが届き、時々更新されるブログ(会員制でPWが必要なので、ここではURLを紹介できない)を見ることが出来る。普通のメディアには出てこないような昭和基地の舞台裏(基地内の手作りバーやゴミ処理の様子)を見ることが出来るのも面白いし、氷山やペンギンの写真も、知人から直接届くとなると、メディアを通して見るのとはひと味違ったリアルさがあってワクワクできる。いいなぁ。石巻に雪が積もり、ひどく寒かった先週の半ば、こんなメールが届いた。

「平居先生、こんばんは、こっちは日本より6時間遅れです。

日本は雪で大騒ぎのようですね。

今夏なので朝の最低気温がマイナス3〜4度、日中は4〜5度くらい、時々雪がちらつく程度です。気温が上がれば野外作業はTシャツでやったりすることもあります。昭和基地の歴代最高気温は+10度くらいで、今は残雪はありますが道路にはほとんど雪はなく、土ぼこりがひどいところです。元気でやっておりますのでご安心ください。現在、ヘリコプターでの隊荷空輸で慌ただしい毎日です。」

 ところで、南極については、南極条約という国際条約があって、どこの国も領有を主張してはいけないとか、利用は科学観測に限り、そのことについては各国が協力し合わなければならないとか、軍事利用や核実験をしてはいけない、といったことが決められている。その結果、国境がなく、いろいろな国の基地をパスポート無しで訪問でき、協力し合うという理想的平和世界が作られている。ペンギンも氷山もいいけど、そんな点こそ南極の魅力だなぁ、と思い、私はあこがれている。


【感謝感謝・・・今年の年賀状から(1)】

 年賀状の「お年玉くじ」の抽選も終わり(4等だけながら、今年は7枚も当たった!)、新年もこれで一段落付いたような気になる。毎年このタイミングで、「今年の年賀状から」というコーナーを設けているので、今年も。

 まずは、前任校で担任・部顧問として関わったK君(東京の大学生)。

 「去年は、ゼミナール活動、学生団体の代表など、様々な経験をさせていただきました。それらの経験から、「人」に感謝するコトの大切さを学びました。今の自分が存在しているのも、今までの人生で関わってきた人がいたからこそ。そして、親が震災後も変わらず元気で、自分のために働いているから。学生団体の代表を務めることができるのも、メンバーが支えてくれているから。周りの人々に感謝する日々です。」

 同じく前任校で担任として関わったH君のお母さん。

 「Hは3年生で就活の時期ですが、マイペースで、なんとなくのんびりしているような気がします。東京でとても地味に暮らしています。少し大人になりました。「ありがとう」を連発しています。」

 共通するのは、「感謝」だ。K君は、高校在学中からアクティブで礼儀正しかったが、H君は、ぐうたらであまり態度よろしくなかった。どちらも、東京の大学生活でいろいろと揉まれたのだろう。自分というものを誇り、主張するのではなく、自分を支えてくれている周りに目が向き、感謝できるようになったというのは、「少し大人になった」どころではない「大きな」進歩だ。何という資格を取った、どんな立派な会社に就職が決まった、何かのコンテストで入賞した、といった話よりも、こんな話の方がはるかに嬉しい。

(続く)