あふれるゴミ箱



(2月19日付学級通信より・承前)


【身近なことから始めよう、が試される時】

 最近、教室のゴミ箱が常にあふれていて、教室掃除当番が苦労している。原因ははっきりしている。生協による飲食物販売で、パンやおにぎりだけでなく、弁当を売るからである。この弁当の箱がやたらかさばる。諸君の責任とは言えない。

 私は昔から、ペットボトルや弁当箱の使い捨てに非常に批判的である。それは資源問題だ。資源(主に石油)なんて有限で、使ってしまえば2度と再生されないのに、こんなに気軽に使い捨てていいわけがない、と思っている(ちなみに私は、自家用車についても禁止論者である)。

 不思議なのは、資源にしても環境にしても、諸君に作文を書かせれば、ほとんど全員が「身近な、出来ることから始めたい」と書くのに(過去に何度も経験がある)、あれこれと工夫しながら実行しようという姿勢に接する機会は極めてまれだ、ということである。

 親が作ってくれなくても、高校生ならおにぎりくらい作れそうなものだ。仮にそれが無理でも、登校途中でおにぎりかパンでも買ってくれば、ゴミ問題は劇的に改善されるだろう。「身近なことから始める」は、他の多くの真理と同じく、言うのは簡単、実行は至難で、それが出来る人は偉大だ、という性質の言葉だ。

  

(表面隅:2月17日『朝日新聞』日曜版より「へその生物多種多様 60人で2368種」と2月13日『日本経済新聞』「イチローへのインタビュー」より「僕は日本語で苦労している」の部分を引用

 平居コメント:NIEの研究協力校になって以来、いろいろな新聞に目を通せるようになった。大きな記事でなくても、面白い!と思えるものがけっこうある。)


(裏面:2月10日『毎日新聞』より「受賞後のしかかる重圧」を引用

 平居コメント:字ばかりの記事で申し訳ない。毎年2回、芥川賞直木賞という最も有名な文学賞の発表がある。今年最初の発表では、黒田夏子さんという人が、史上最年長75歳で受賞した。この記事は、過去の芥川賞受賞者のその後を追ったもの。一時の栄光が、その後の何物をも保証はしない。じっくり読めば、人間(人生)のドラマとしてとても面白い。)