ボイジャー1号から見た地球



(4月9日付け学級通信より)

 始業式に先立って、土曜日に、我が家の水仙と梅が開花した。先週は、新学期(=動物園での生活)が始まるのが憂鬱で仕方なかったが、昨日、諸君が登校して、校内がにぎやかになってくると、なんとなく楽しい気分になってきた。今更「期待」があるわけではない。いや、期待なんて持たないようにしているのだけど(笑)、ただ、人がごちゃごちゃいると少し明るい気分になるのだ。いい1年になりますように。

 さて、春休み中に目を通した新聞記事の中で、ひどく衝撃的だったものがある(写真印刷=3月26日『毎日新聞』より)。記事は、ある人の談話の形で以下のように書かれていた。

「(この写真が無人宇宙探査機・ボイジャー1号によって撮られたのは)太陽系を離れる最後の日、1990年2月14日です。3歳の娘を持つ女性科学者が、地球からボイジャーにこう呼びかけました。『お母さんの方を振り返って』。その時のボイジャーの位置は、地球から65億キロメートル。光の速さで走っても4時間15分かかるくらいの遠い所です。光は、お月様までたった1秒、太陽まで8分20秒くらいで行く。4時間15分かけて返事が来ました。往復8時間30分ですね。そして、64枚の写真を撮った1枚が、この地球の姿です。中央に太陽の光が一本の線になって見える。この光の中で、針の先ほどの小さな青い点が写っています。これが最も遠い所から見た地球の映像です。その時、私の友人だった(NASA惑星探査の指導者で米天文学者の)カール・セーガン博士がこう言ったんです。『諸君、この写真のあの小さな点の中に、君たちも私もいるし、君が可愛がっているペットもいるだろう。あるいは君を殺したいと思っているよその国もあるかもしれない。しかし、あの小さな青い点の中で何かが起こった時に、助けに来てくれる星がどこにあるだろうか?探してごらん、どこにもない。これが、65億キロの彼方から見た孤独な、孤独な、地球の映像だということを忘れないで』と。」

 地球はこんなにも小さな存在で、そこに生活する私たちは、宇宙のゴミにさえならない存在だが、それでも、誰も自分の命や存在価値を否定できないし、よりよく生きたいという欲求を失うこともない。とすると、「小さな小さな存在であるにも関わらず」ではなく、だからこそ、それらが尊いものに思われてきた。

 ボイジャーは太陽系を離れ、今も飛び続けている。太陽からの距離は200億キロ近い。それでも、太陽から最も近い恒星までは、あと約8万年かかるという。ボイジャーには異星人がそれを発見したときのために、地球人からの様々なメッセージが録音(レコード)で搭載されている。異星人が私たちの声を聞くまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。宇宙はとてつもなく広い。


【新年度の始まりに当たって】

 クラス替えなしで3年間持ち上がるというのは、私にとって初めてのことで、全県の教員の中でも、そういう経験が出来る人は工業高校(1学科1クラスの場合が多い)勤務経験のあるごく少数の人だけだろうから、非常に貴重な経験だと感謝している。一方、だからこそ、お互い何となくお互いのことが分かっているという「馴れ」は警戒しなければ、と思っている。「親しき仲にも礼儀あり」という言葉もある通り、常にケジメと緊張感のある関係は保たなければ、諸君も私も成長できない。


(担任基本方針)・・・変わるわけがない。基本は常に平凡で、奥深く、実行の徹底は困難だ。

・逃げるな・・・究極は「弱い自分」から逃げないことである。

・自立せよ・・・進路の決定という課題がある今年こそ、自立の程度が問われる。場面によっては(常に?)、私がとても冷たい担任であることを、諸君はよく分かっているはずだ。

・背伸びせよ・・・一歩上を目指し、そのために自ら悩まない人に成長はなく、成長しない人間は間違いなく退屈である。私は嫌い。


 就職だとか進学だとかいう話が増えるのかも知れないが、努力し、実力を付ければ、結果は自ずから付いて来る。努力せず、実力がなければ、対策なんてしても無駄。多分、私は「進路」について大騒ぎはしないし、親切でもない。


(学年目標)・・・3番目以外、こちらも変わらず。

・挨拶の徹底・・・全ての始まりは挨拶から。

・基本的生活習慣の確立・・・遅刻欠席早退をしない、。清潔感のある身だしなみ。

・最高学年としての自覚・・・自覚と責任ある学校生活

・環境美化・・・清掃コンクール上位独占

・基礎学力の定着・・・授業への積極的参加と、毎日1時間の家庭学習


(裏面:3月25日付け『朝日新聞』より「目覚めよ資源の海」を引用

平居コメント:最近、日本の領海から大量のレアアースが発見されたとか、メタンを取り出せるようになった(技術が進んだ)とかいった景気のいい話をよく耳にする。だけど、本当にいいことなのかな?特に、メタンなんて、石油が無くなっても地球上の二酸化炭素は増え続けますよ、ということだし、何か事故が起こってメタンが空気中に放出されたら、二酸化炭素の20倍以上ものパワーで温暖化を進ませることが分かっている。どっちみち、便利なものは全て危険なのだ。)