今時の高校の夏休み、または長崎へ行くW先生



 今日は3年生の登校日。外部から講師に来ていただいての「就職達成セミナー」だった。こんなことは、本当は授業日にやればいいことなのだけれど、例によって授業日数の確保。3年生は3月1日に卒業してしまう都合、他の学年より授業日数が少ない。その差を少しでも小さくするために、あえて夏休み中に登校日を設けた。8日(就職者)も9日(進学者)も似たり寄ったりの登校日だ。

 生徒が「セミナー」の一方で、宮水校内で、県教委主催の教員研修会も行われていた。県内高校の一部教科の1年目、2年目、11年目の教員30名ほどが集まって、教員同士で模擬授業やら合評会やらをしていたようだ。11年目の先生は、明日も続くらしい。こんなもの、いつ頃から行われるようになったのかな?幸いにして、私は経験せずに済んだ(私が通過した後でそれらの研修が生まれたから。或いは、私のような不届き者がいるから、研修が必要だということになってしまったのかも)。それでも、今週末9日には、「教育課程研究会」という『学習指導要領(教育についての政府の考え方)』を現場に徹底させるための研修会が多賀城であって、出席せざるを得ない。そのために、事前にしこたま宿題も出されていた。

 資格講習は怒濤のように行われている。これも本当は、授業の枠内に実施しておかしくないものがあるのだけれど、教員が本来受け持つ時間を、外部講師に頼んではいけないそうだ(実質よりも、大切なのは教員を暇にしないことだ、ということがよく分かる)。フォークリフト玉掛け、小型移動式クレーン、床上クレーンと、全部取ると10日以上になる。2年生の短期航海(航海とマリンテクノのクラス、それぞれ4泊5日、函館)、そして小型船舶の補習、進学者用の課外もある。

 部活動を抜きにしても、これが、今時の高校の「夏休み」というものの姿である。


(8月6日付け学級通信より)


 梅雨は明けたが、入道雲が出ていなかったので、この梅雨明けは偽物だな、と思っていたところ、案の定、気持ちよく晴れたのは2日だけで、後はどんよりとうっとうしい。妙にべたべたとした日本的な蒸し暑さだけが、夏と言えば夏だ。

 さて、今日は何の日?・・・広島の原爆忌である。68年前の今日、人間の頭の上で初めて原子爆弾が爆発した。明日からW先生が長崎に行く。もう一つの原爆忌=8月9日に行われる原水爆禁止世界大会に参加するためだ。「世界大会」と名前は付いているが、そんなに仰々しいものではなく、W先生も「日本代表」というわけではない。ただ、年に1度、原爆忌に長崎・広島に交互に多くの人が集まって、核兵器のない世界を作ろう、という意志確認をするというイベントだ。被爆遺構の見学も含めてたいへんよい勉強になるので、休み明けの授業で話を聞いてみるとよい。

 ところで、1万人以上の人が集まるこの集会も、近年は参加者の減少と高齢化が深刻だと聞く。私は「平和ぼけ」「豊かさぼけ」だと思っている。目先の利益と楽しさだけを求め、面倒くさいことは嫌、そして自由と平等(=平和、だと私は思っている)を守ることに手間を惜しむ、という風潮は強い。

 この後、8月15日の終戦記念日へ向けて、テレビでも新聞でも多くの特集が組まれる。戦争の教訓が、人間の本質に関わる深刻なものであるのに対し、津波の教訓なんて他愛もない単純なものに過ぎない。諸君も、来春には高校を卒業し、2年後には選挙権を持つわけだから、そんなことにも目を向けられるようになって欲しい。

(他の記事は明日)