増税に反対ではなかったけれど・・・



 消費税が8%になった。昼におにぎりを買ったら、105円の本体に8円の税が付いて実感した。もともと私は増税賛成派で、しかも増税するなら消費税が合理的と思っていたので、文句のあろうわけもない。もちろん、消費税の逆累進制には問題を感じているが、日本で収入を得ていない人も巻き添えにしながら、消費に応じて課税するというのは仕方のないことだと思う。

 しかしながら、私が増税賛成派だというのは、単に借金が嫌いだからである。身の丈に合わないお金の使い方こそ、増税以上に問題だ。1000兆円にも膨れあがった国の借金が、今回の増税で少しずつ減少に転ずるならやむなし、というだけのことだ。増税分が、否応なく増加させざるを得ない社会保障費や国債の償還以外に使われるとなれば、まったく心外なことである。

 そして現実は・・・借金が減少に転ずる気配はなく、公共事業(=土木工事)費が大きな伸びを見せ、防衛費も増え、法人税のさらなる減税も検討されている、となれば、増税など腹立たしい以外の何物でもない。私はそんなために税金を払うのではない!と、絶叫したいような思いに駆られてくる。

 今日から石油にかけられることになった環境税にしても、石油の消費を抑えるために高額の税金を課するべきだという私の従来の主張には沿ったものだが、税率は低いし、実際の環境保護二酸化炭素削減なんて、ほとんどパフォーマンス的なことしか行われていないわけだから、これまた胡散臭い税金である。

 昨日、IPCC気候変動に関する政府間パネル)の報告書が出て、人間の経済活動による温暖化の進行と、それによる人間生活への決定的ダメージが、ますます決定的なこととして指摘された。一方、数日前にANAが大量の飛行機を発注したことが、いかにも明るいニュースであるかのように報道され、被災地では、過剰な復旧工事のための大型車両が走り回っている。

 今の社会において、豊かであるということは、石油を燃やすということに過ぎない。石油はさほど遠くない将来、間違いなく枯渇するはずなのに、必要だったら買えばよい、買うお金がなければ借金すればよい、なくなった時のことなんて考えない、因果関係が豊かさほど直接的に把握できない気候変動なんて考える気にもならない、何が起こるにしても自分が死んだ後のことだろう、だからどうでもいい・・・。こういう発想が私には理解できない。

 もちろん、1000兆円の借金が生まれたことも、私の意に反するお金の使い方の結果なのだが、借りてしまったものはどうしようもない。だとすれば、返す方法、借りずに済む方法こそ考えなければ・・・と考えるのは、よほどの少数派らしい。

 買い物をするたびに、増税は賛成、だけど使い方は反対、という相反する感情がこみ上げてきて不愉快になる。どっちみち、税や予算に限らず、今の世の中で行われていることのほとんどは、私の考えと逆で、その溝が埋まる可能性は感じられないのだから、それを承知で、わざわざ人を不愉快にするようなことを書く必要もないのだろうけど・・・。