そう言えば、先月の10日に、カンケイマルラボで開かれる「私的研究本」の展示会について書いた(→こちら)。その企画は、6月5日に始まり、今週の日曜日、14日に終了した。商品ではなく、そのコーナーだけをわざわざ見に来る人もいたと言って、店主が驚いていた。
さて、この機に、私が「旅」をテーマとして出品した3種類の本について書いておこう。この展示会には、主催者が指定した様式で、A4版の解説を掲示したので、その文面に若干の補足を加える形を取ることにする。(関連記事→こちら)
《私的研究本》
テーマ: 旅
Book1「雑誌 オデッセイ(10冊)」(グループオデッセイ刊、1976年〜)
Book2「LATIN AMERICA」( 〃 1987年)
Book3「地球の歩き方 南米」(ダイヤモンド社、1988年)
A1.あなたの研究について教えてください。
戦後の海外旅行史。特に、プラザ合意(1985年)以前に、いろいろと制約のある中で、若者がどのようにしてそれらを克服し、旅してきたか。
(20世紀まで、海外へ行くことは現在に比べてはるかに特別なことだった。その時代、若者はどのように情報と資金を得て旅したのか?また、今世紀に入ってから若者の動きは低調になったと言われるが、海外渡航者が飛躍的に増えている中で、なぜそのように言われるのか?旅のスタイルはどのように変化しているのか?)
A2.この3冊はどんな本ですか?
海外旅行を一般化させるに大きな功あった『地球の歩き方』創刊は1979年(アメリカ編、ヨーロッパ編)。1976年創刊、手書き文字の雑誌『オデッセイ』(Book1)は、それ以前の旅行文化をよく伝える。編集・発行元であったグループ・オデッセイは、1980年代まで、ガイドブックを出版するだけの勢いと力とを持っていた(Book2)。しかし、同時期に出版された『地球の歩き方』(Book3)と比較するに、情報は少なく、偏っており、自立した前世代の旅行者を念頭に置いた時代遅れな書物との印象も否めない。ちなみに、『LATIN AMERICA』は、『地球の歩き方 南米』より200も少ないページ数で、中米までカバーしている。
『地球の歩き方 南米』は、現在、既に出版されていない。南米は「チリ・アルゼンチン」と「ペルー」と「ブラジル・ベネズエラ」に3分割されてしまったのだ。紙質の向上(=重量の増加)も含めて、リュックサックを担いで長期間旅をする人々に代わり、スーツケースを引く短期旅行者が増えたことを物語っているだろう。