今日、私が勤務する水産高校では、「安全祈願祭」なる儀式が行われた。いよいよ、新校舎建設が始まる。そのための起工式みたいなものである。と書けば、それは「地鎮祭」ではないのか?ということになる。その通り。ところが、なにしろ公立高校なので、政教分離の観点から「地鎮祭」はまずいだろうと、表面だけ変えたわけだ。当然、神主の代わりに校長か教育長、あるいはその両方が何かご挨拶を述べるのだろうと思っていたら、何のことはない、神主が来て祝詞を奉ずるという。私は事務長からそんな話を聞いて、吹き出してしまった。何のための看板掛け替えなのだろう?
いま、「聞いて」と書いたとおり、私は出ていない。平教員には出席の義務もお誘いもないのである。校庭の北に紅白幕で囲ったテントが設置されているのだけが見えた。
実は、新校舎建築は一昨年の夏休みに始まり、既に完成している予定であった。その予定には意味があった。今年11月15日、宮水は創立120周年を迎えたが、新校舎の完成はそれに花を添えるのである。120周年の記念式典と新校舎の落成式典を同時にやろう。いやいやそれだけではない。え〜い、この際、制服も一新し、校名も変えてしまおう、などという話さえあった。
ところが、復興需要に伴う建築資材の値上がりなどの理由によって、延期が繰り返された。海岸に近い泥の堆積層という地盤の問題もあり、非常に深い杭打ちが必要となるので、完成は再来年の春になる。使用は2018年度新学期からだ。この結果、120周年の記念式典もお流れとなり、全校集会さえない。110周年以降10年間の歴史をまとめた70ページばかりの冊子は作り、制服一新の話こそまだ存在しているものの、校名変更の話はもはや立ち消えとなり、11月16日から、静かに静かに宮水は121年目に入った。
11月15日創立記念日と言えば、この日は例年、宮水のマラソン大会である。高校としては全国最短クラス、アップダウンは多少あるものの、たった6.4㎞の大会である。私は今年も1ヶ月間体育の授業に混ぜてもらって練習し、生徒に紛れて参加した。職員の胃検診や予備日設定の都合などから、今年は創立記念日より5日も早い11月10日の実施であった。
記録として書き留めておくと、今年は27分57秒で24位、教員(4人)内では1位だった。昨年より17秒速く、一昨年より17秒遅い。つまりは誤差の範囲内で、この数年進化も退化もせずに推移しているということになる。私以外に走った教員は20代が2人、30代が1人なので、彼らにけっこうな差を付けたことは少しだけ気分がいい。そう言えば、今年の職員検診はデータが全て正常値だった。正規職員58人の中で、データが全てが正常なのは7人しかいなかったらしい。年齢順で6番ということも考えると、なかなかの好成績だ。まだ大丈夫という気にも少しなるが、話をマラソン大会に戻せば、しょせんは6.4㎞だからである。既にハーフを走る自信もない。出来るだけ自転車通勤を継続しながら、体調と体力の維持に努め、ピンピンコロリでバイバイせねば・・・。