新しい檜皮葺の屋根

(10月17日付「学年だより№22」より)

 相変わらず、私は毎日、塩釜神社を経由して学校に通っている。その塩釜神社では、9月上旬以来、御文庫と社務所の屋根の葺き替え工事をやっている。今月に入って間もなく、まずは御文庫の工事が終わり、覆いが取り外された。
 御文庫とは、室町時代に建てられたと推定される塩釜神社最古の建物で、屋根は檜皮葺だ。葺き替えられたばかりの屋根は、息を呑むほど美しい。落ち着いた上品な茶色で、まるでビロードのように柔らかく輝いている。
 普通の民家半軒分ほどの小さな御文庫の屋根の葺き替えに1ヶ月もかかったというところに、日本の伝統技術がいかに手間のかかるものであるか、ということがよく表れているのだが、秋晴れの下で新しい屋根に見入っていると、それに見合った値打ちは確かにある、との納得が心の中に生じてくる。

(裏面:9月25日朝日新聞宮城県内版、伊藤正浩筆「みやぎ野球史発掘」より「球場第1号 塩釜のどこ?」を引用。コメントなし。)

ブログ用の補足:記事によれば、宮城県で初めて作られた野球場は、塩釜市内にあった北浜球場らしい。完成は1921年=大正10年。球場創設に関わった人達は「東北実業野球大会」をその球場で主催したが、4年目からは仙台に出来た「東北体育協会球場」に場所を移した。北浜球場が狭かったからだという。今では北浜球場がどこにあったのか、その正確な場所を特定することさえ出来ない。些細な郷土史であるが、面白い。