全てが「投票」

(10月8日付け「学年だより№64」より②)

 

(その2)
 伝統文化の継承ということに問題意識を持った人は、本当にたくさんいた。ほとんど全員と言ってよいほどだ。だが、それを解決させるための方法が、国による施策(補助金など)かというと、私は少し違うような気がする。

Q:以前は和紙作りが盛んな地区だったそうですね。
A:昔は冬の収入源として各家庭で作っていました。次第に障子紙の需要が減り、80年代になると製紙を続ける家は地区で数件のみになりました。

 これは9月28日の河北新報に載った、山形県白鷹町で「深山和紙」作りをする職人さんへのインタビュー記事の一節だ(本物の「学年だより」では記事貼り付け)。「数軒のみ」とあるが、それは1980年代の話で、今は1人だという。

 昨年の「学年だより」№11の裏面記事にもあったが(憶えているわけないよね?=笑→こちら)、「われわれの全ての行動は何らかの『投票』になっている」。上の記事を読むと、そのことがとてもよく分かる。
 つまり、家の障子を張り替える時に、10年持てばいいやと大量生産品の紙を貼るか、100年使えるように値段が10倍の和紙を貼るか?たいていの人は前者を選択する。それは、和紙ではなく量産品に1票を投じた、ということだ。すると、和紙の需要は減り、職人の仕事が減り、彼らが食べていけなくなる。彼らが食べていけないのは、私たち自身の選択の結果なのだ。
 いろいろな場面で、「公的な補助を」という言葉を耳にするが、それは安易すぎる。本当は、私たち一人一人が「あなたの仕事が必要なんです」と「投票」していくべきなのだ。それ以外に本当の解決はない。

*これ以外の記事は省略。

裏面:9月26日付け毎日新聞より、「SNS『住所特定屋』 ストーカー悪用も」を貼り付け。
平居コメント:こわい、こわい。文明によって大きな力を手に入れれば入れるほど、それに伴う危険も大きくなるからね。