地形図の問題(1)

 一昨日、国土地理院発行の2万5千分の1地形図に瀬峰飛行場が載っていないことに驚いた、というようなことを書いた。飛行場など、それが私物であろうが何だろうが、見た人が、自分の居場所を同定するための極めて重要な情報になるわけだから、用途を限定しない一般向けの地図に記載しないということはあり得ない、いや、あってはならないことである。
 かつて同様のことがあり、このブログに書いたのみならず、国土地理院にそれを送って文句を言ったことがある(→こちら)。簡単に言えば、宮城蔵王・澄川スキー場にあった聖山平リフトが、営業運転を止めたとはいえ、当時のまま、ワイヤーも張られ椅子も付いた状態で残っている、現在位置を知るための極めて重要な情報なのに地形図に記載しないというのはおかしい、鉄道地図のように、使用目的が決まっている地図であれば、一般人が利用できない路線を載せないことも許されるだろうが・・・というようなことである。
 国土地理院からは、「平成4年の地図修正の際に当該リフトが表示基準であるスキーリフトとしての機能を停止(今回の調査でも機能停止で設置場所はゲレンデとして使用されていない)していたことから、地図から削除し現在に至っています」と返事が来た。「ちゃんと規則を守って作っていますよ」というだけの返事だ。「だから、その『表示基準』が間違ってるって言ってるんですよ!」という私の思いは理解してもらえなかった。
 同様のことはこの2例に止まらない。例えば、私が毎週末のように走りに行く牧山。湊地区の御所入(ごしょのいり)から頂上に通じる車道を3分の1くらい上がったあたりに、西に抜けるトンネルがある。私は通ったことがない。なぜなら、山の西斜面に採石場か何かがあって、そこに用事があるダンプカーだけ通行できるトンネルだからである。立派なトンネルがあることは誰の目にも入るので、位置の確認ができる。しかし、これも地形図には書かれていない。一般の人が通行できない以上、書く必要がないと国土地理院が判断しているのであろう。
 しつこいが、国土地理院の地形図は用途を限定していない。だとすれば、とにかくできる限り正確に多くの情報を、見やすく提供することで、どんな目的でその地図を手に取る人にとっても役に立つものでなければならない。
 地形図の記号には「特定地区界」を示す破線というのがある。「特定地区」というのは、「飛行場、牧場、公園、ゴルフ場、野球場、競技場」などのことだ、というのも、国土地理院自身が明らかにしている。だったら、瀬峰飛行場の土地もしくは滑走路部分を「特定地区界」の破線で囲めばいいではないか。現在、一般人が使用できない状況にあることを示したければ、記号の色を変えるか、その旨を示す記号(例えば×)を上書きすればいいだけだ。地図で飛行場を見付けただけで、「飛行機に乗ろう」とそこへ行く人などいるはずがないので、飛行場については余計な記号も必要ない。飛行場というのは広く平坦なので、等高線が引かれることもないのだから、そのスペースに「瀬峰飛行場」と書き込むことも簡単だ。
 紙面は限られている。多すぎる情報は、地形図を分かりにくくする。だから、情報は誰かの判断で取捨選択しなければならない。全ての人が納得できるような取捨選択はあり得ないだろう。それにしても、だ。誰が見てもはっきりと分かるもの。場所を同定するために決定的な情報というのは省いてはいけない。聖山平のリフトなど、遭難した時には生死を分ける情報である。(続く)