4月2日の河北新報に、「石巻新庄道路に調査費 政府、本年度予算に初計上」という記事が出た。政府の来年度予算で、石巻と酒田を結ぶ「みちのくウエストライン」160㎞のうち、石巻と新庄の間、約110㎞について14億5千万円の調査費を計上したのだという。ああ、またか、とため息をついた。
化石燃料の消費(=温室効果ガスの排出)を抑える、と言いながら、新しい道路の整備やガソリンに対する補助金など、すさまじい金額を費やして、自動車の利用を積極的に推進するような施策が後から後から実施される。その一方で、JRは利用者減にあえぎ、そのJRに経営努力が足りないとして、国は経営改善命令を出す。なぜJR(特に北海道)がペコペコ頭を下げて命令書を受け取るのか、私にはまったく理解できない。実行するかどうかは別にして、私だったら、国交省の役人の目の前で命令書を破って叩きつけたくなるだろう。
石巻~新庄と言えば、陸羽東線に沿ったルートだ。陸羽東線の鳴子温泉~最上間は、一昨年7月28日にJR東日本が公表した「利用者の少ないローカル線の区間別収入」で、輸送密度(1日1㎞あたりの利用者数)79、営業係数(100円の収入を得るためにかかる経費)8760円で、JR東日本管内でワースト2になった。ただでさえも、人口希薄の上に鉄道ダイヤが不便で、鉄道利用の少ない場所である。自動車道路を整備すればするほど、鉄道利用は落ち込むに決まっている。
利便性だけを考えれば、あまり困らないかもしれない。交通弱者をどうするのか?ということはいつも話題になるが、交通弱者と言われる人々も、既に鉄道なんて使っていられないからと、誰かの送迎なり、タクシーなりにシフトしてしまっているはずだからだ。そうでなければ、輸送密度79などということは起こるはずがない。
問題は温暖化である。どう考えても、車社会と環境は矛盾するのである。EV=電気自動車があるではないか、などというのがただのごまかしであることは、今更言うまでもないだろう。EVはあくまでも「走行中は二酸化炭素を出しません」というだけで、自動車を作るのにも電気を作るのにも、二酸化炭素を出さない方法などないのである。
人間は、一度ぜいたくを憶えてしまうと後戻りできない生き物である。だからこそ、ぜいたくの道を推し進めることには慎重であるべきなのだ。しかし、この世で行われていることはまったく逆である。これだけ道路が整備されているところに、更に高規格道路を作り、車なしでは生活出来ない状況を作っていって、鉄道が赤字だだの、温暖化を克服するだのというのは、あまりにもでたらめだ。
ウクライナもパレスチナも、みちのくウエストラインも、私の目にはよく似た問題として見えてくる。人間には破滅への道を進むように、プログラムが施されているということだ。人間の意志などない。すべては自然、いや、神の意志である。