尖閣諸島はなぜ、誰のものか?



(8月21日付学級通信より=大幅に改)

 やれやれ、早くも新学期である。

 夏休み中、私は学校を留守にすることが多かったので、副担の杉山先生に「よろしく」と言ったところ、「生徒って、担任がいない時に限って問題起こすんですよね」と言われ、ドキッとした。だから、昨日、久しぶりで学校に来る時には戦々恐々・・・そうしたら・・・とりあえず何も起こっていなかった。エライ!!


 夏休み中、中国に行っていて、夜、テレビを付けると、オリンピックで中国人選手が金メダルを獲るシーンばかり繰り返し繰り返し放映していた。これは、オリンピックが閉会した後もしばらく続いた。合間に、これ見よがしに獲得したメダルの国別一覧表が映される。やはり中国では、メダルの数は国の力なんだな、と思った。そして、北京で過ごした最後の夜は、尖閣諸島への中国人活動家の上陸、日本による拘束、というニュース一色だった。

 諸君の視野に入っているかどうか分からないが、昨年来、領土問題で他国とのトラブルが激しくなっている。相手は、ロシア、中国、韓国、台湾だ。尖閣諸島を巡る問題は、私の帰国後、日中双方でヒートアップし、中国では各地で大規模な反日デモが起こっているし、日本でも過激な行動・発言が相次いでいる。

 ここで私は、ふと思う。テレビに出てくるような人々は、誰でも尖閣諸島が自分の国の領土だと主張し、同様の主張をする相手国を激しく非難しているが、自分たちの主張の根拠をきちんと説明できる人はどれだけいるだろう?中国で暴動に参加している人々のうち、いったい何パーセントの人が、尖閣諸島が中国領である理由を説明できるだろう?実は、私自身も恥ずかしいことに、中国人などの動きを何となく不愉快に思いつつ、尖閣諸島がなぜ日本の領土だと言えるのかというと、「政府がそう言っている」という以外に説明できない。つまりは、尖閣諸島がどこの国の領土なのか、本当は分かっていない。

 これは非常に危険なことである。「偉い人がそう言っている」「みんながそう言っている」「みんながやっている」というのは、人が悪いことを正当化する時の決まったパターンだ。国内問題(自分たちの失政)をごまかすために対外問題に目を向けさせようとする政治家の口車に乗り、能力のない政治家を積極的に支えることで、更に悪い世の中を作ることにもなってしまう。

 正しさは、「みんなはそう言っているけど本当にそうなのか?」と考えることによってのみ実現する。そして、そのような考え方をした上で、やはり尖閣諸島は自分たちの国の一部だという結論を出した人は、暴力的な自己主張をしたりは絶対にしない。そういうものである。 


(裏面:8月9日付『朝日新聞』より、NASAの火星探査機「キュリオシティ」が着陸に成功した記事。

平居コメント:私には、大気が薄いとパラシュートが機能しないというだけで新鮮な発見だ。)