頑張れ南三陸高生!

(2023年11月20日「担任のお話」№26より)


 インフルエンザもようやく一段落。先週、多くの感染者が出てよかった。と言うのは、これで考査直前である今週、あるいは考査中に欠席ということが起こりにくいからだ。今日は考査1週間前。
 ところで、もはや10日も前の話になるが、私は教科の研修で南三陸高校(旧志津川高校)に行った。資源と環境を守るために、出来る限り自家用車を使わないことにしている私は、片道1時間40分をかけて列車とバスで行く。乗る機会のほとんどない路線を、景色を見ながらのんびり行くのは楽しい。
 東日本大震災の影響もあって、南三陸高校は生徒数の落ち込みが激しい学校だ。今は各学年3学級、1学級当たりの生徒数は約15名、全校で150名に満たない。学校が消滅しそうなので、県は、今年から生徒の全国募集に踏み切った。初年度となる今年は5名が県外からやって来た。
 入れる高校がどこにもない低学力の生徒ばかりが入っているのだろう、生活も乱れがあるに違いない。そんな予想はすぐに裏切られた。身だしなみがとてもきれいで礼儀正しく、授業に向かう姿勢も真面目だ。
 県内から多くのお客さんが来るから、その日だけいい子にしているというのではなかったと思う。私たちは丸々半日もの間、彼らの教室をうろうろしていたわけだから、お客さん用の付け焼き刃なら絶対にぼろが出る。そもそも、人間の質は顔に表れる。かわいいなあ、この子たちには幸せになって欲しいなぁ、と心から思った。

【がんばれKR】

 先週、木曜日に生徒会役員選挙が行われた。A2が学級閉鎖、立候補者にも応援弁士にも欠席者続出という異常な立会演説会だった。出席停止者を対象とする不在者投票が今日行われ、明日には結果が発表されるらしい。
 我がM1からは、かの有名なKRが、1年生ながらも会長に立候補した(出席停止で演説を聞けなかったのは残念!!)。執行部員まで合わせても、1年生からの立候補者はKR1人しか居なかったのだから驚く。私はその「やる気満々」が大好きだ。なにしろ、「成功の反対は失敗ではなく、何もしないこと」だからね・・・(憶えているかな?)。

〈大切〉選挙の際、私は「M1の仲間として、みんなでKRに投票しよう」とはあえて言わなかった。生徒会は民主主義の練習であり、役員は政治家に相当する。日本では、地元や母校出身の政治家を応援したり、「私の町(母校)から○○大臣が誕生した」と喜んだりする人が多い。政治家として大切なのは政治的手腕や思想信条のはずだから、地元(母校)出身という理由で応援するのは変な話だ。私は、民主主義の未熟だと思っている。何年生でも、何科でも、役員にはその仕事に最もふさわしい人間がなるべきなのだ。私が意欲を買ってKRを応援するのと、諸君の投票は別の話である。その点は明確にしておきたい。


裏面)2020年6月 日河北新報「持論時論」欄に載った拙文「新生活様式への違和感 人間関係への影響危惧」を貼り付け。(→このブログの記事、また、→今年5月の検証記事
平居コメント)先週は、インフルエンザが正に「猛威」を振るった。M1のインフルエンザ感染者15名も多かったが、C1の同時に23名がインフルエンザというのは、本当に記録的だった。少なくとも私は、クラスの過半数が感染、というのは記憶にない。
 さて、上はコロナ休校が始まって2ヶ月後に私が書いた作文である(記事になったのは3ヶ月半後)。その時期、1ヶ月半にわたって宮城県では1人の感染者も出ていなかった。新型コロナウイルスなるものの性質がまだよく分かっていなかった時期ではあったが、致死率はあまり高くなさそうだったし、「風邪の一種だ」と言っていた専門家がいたこともあって、私は対策が過剰なのではないか、と心配していた。
 「心配」というのは、物事には必ずメリットとデメリットの両面があって、しかもメリットはすぐに見えるが、デメリットは時間が経ってから初めて表れるという性質があるからである。コロナ対策も、やがて別の問題を生むに違いない。私はそんな心配をしていたのだ。
 2ヶ月前の9月14日に、宮城県でインフルエンザ警戒警報というのが出た時、何人かの医師が、9月にインフルエンザというのは前例がない、コロナ対策のマスクや消毒が人の免疫力を低下させたのではないか、と言っていた。それを聞いて、私は「やっぱり!!」と思った。予想的中だ。
 人間は「大変だ!」と思うと、そのことしか考えられなくなる。しかし、それは常に危険なことなのだ。それを回避するためには、時間的にも空間的にも広い視野で考えることが必要だ。そして、オリエンテーションで言ったとおり、それをできるようにするために、私たちは「勉強」するのだよ。


*その他の記事は省略。