町内会とは?

 庄内から戻ると、私はすぐに地域の集会所に駆けつけた。私が所属する町内会の交流会というものに参加するためである。町内会の役員の集まりなのだが、今月上旬にポストに入っていた案内状によれば、参加者は「町内会役員、民生委員・児童委員、保健推進委員、福祉協力委員、衛生推進委員、子供会育成会役員、専門部員、行事協力者等」となっている。私は何の係もしていないので、「行事協力者」か「等」に入るのだろうと思いつつ、積極的に参加の意思表示もしないまま放置してあった。
 そうしたところ、それから1週間ほど経った頃、会長のTさんから直々にお誘いの電話がかかってきた。どうやら私は「行事協力者」として参加資格を持つらしい。確かに、年に一度、8月の盆踊りの時に、準備と後片付けには行くようにしている。何しろ、頼まれたことは、思想信条に反しない限りできるだけ引き受けるようにしている私である(→参考記事)。お誘いに応じて顔を出すことにした。家族からは、「役員やる人いなくて困ってるんだよ。高齢者ばっかりだよ。じいじの会だ」などと冷やかされた。
 盆踊りの手伝いに行くだけで会長さんから電話がかかってくるわけだから、人に困っていることは容易に想像できる。私もこの町内会に住み始めて30年以上経つが、せいぜい4~5軒先くらいまでしか、どんな人が住んでいるかも知らない。積極的に町内会に関わろうなどとは思わないが、これだけ住民の横のつながりがないのもまずいのではないか・・・?とにかく、どんな人がいるのか見に行こう、と思って出掛けた。
 参加者は18名。うち女性は3名だけ。驚いたことに、61歳の私が最年少である。なるほど、家族が言う通り「じいじの会」だ。
 結構ぜいたくに酒食が用意されていた。「じいじの会」ではあるが、皆さんとても元気で、とてもよく呑み、よく食べる。一応、テーマを、「より多くの人に町内会活動に参加してもらうためには?」としつつ、自己紹介を中心としたかなり自由な交流の場だった。
 町内に若い人が住んでいないわけではないと思う。確かに、子どもは少ないが、家の様子や駐まっている車から、比較的若い人が住んでいるのだろうと思う家はそれなりにある。しかし、東日本大震災の時ですら、助け合わなくても生きて行けた場所である。みんなが町内会の必要性を感じないこともまた理解できる。町内会は必要なのだろうか?あるいは、必要だという前提に立った場合、どのようなあり方がいいのだろうか?
 顔だけ見たことがあって名前も知らなかった人と名乗り合い、2時間以上にわたって酒を酌み交わしたのは、それなりに楽しいことではあった。蟻地獄のような「役員への勧誘」もなかった。だが、果たして町内会に対して今後どのようなスタンスを取ればいいのかは分からない。
 最後に、余ったからと言って強く押しつけられた(←あまり適切な表現ではないが、他が思い浮かばない)1升入りの紙パック「いいちこ」2本を抱いて帰宅した。