私が、我が家のすぐ下の小さな神社の桜が開花したことに気付いたのは、先週の木曜日のことであった。金曜日には、我が家の南と西にある桜の花が開き始め、日曜日には、西側は一気に7分咲き、南も3分咲きになった。暑いと思うほどの陽気だったから当然なのだが、我が家は今年、お花見を13日に設定しているので、その時まで花が残っているだろうかと気が気でない。
さて、先週末は2日続けて仙台に音楽を聴きに行っていた。
土曜日は、かの「マスター・プレイヤーズ・ウィーン」。トヨタ自動車がメセナとして招いているアンサンブルで、ウィーンフィルの現役を主とする30人ほどのメンバーが、信じがたいほど高品質な音楽を聴かせてくれる。2000年に第1回が行われてから、仙台での開催は今年で13回目。私は皆勤である。ところが、今年も、CDプレゼントの抽選には外れた。くそっ。(→昨年の記事)
名人集団による相変わらずの素晴らしい演奏なのだが、今年はいくつか変化を感じた。
まず、会場が県民会館に戻った。当然、チケットも元の値段に戻ると思っていたら、全然戻らなかった。一昨年まで3000円だった席が5500円である。トヨタ自動車が、メセナの予算を削って賃上げに回した、ということだろう。
30人のメンバーのうち、ウィーンフィルのメンバーは11人で、過去最低の占有率である。多い時には7割を占めていたわけだから(→参考記事)、少し寂しい。3分の1となると、もはやミニ・ウィーンフィルとは言えない。他のメンバーも、ソリストだったり、ベルリンフィル、ウィーン交響楽団などに所属したりしていて、そうそうたる名人であることは分かるのだが、ウィーンフィルには独特の一体感というか、アンサンブルの妙がある。単に名人が集まったというのと、ウィーンフィルメンバーが集まった、というのではどうしても違うのである。心なしか、音量も下がったようだ。上手いなぁ、とは思っても、「圧倒された」というほどではない。残念。
プログラムも、ややケチくさくなったような気がした。昨年までは、ずいぶん盛りだくさんでぜいたくなプログラムだなぁ、と思っていたが、今年はそう思わなかった。ちなみに、今年のプログラムは次の通り。
モーツァルト 「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」
モーツァルト ピアノ協奏曲第27番(独奏:小菅優)
*アンコールはソナタ第10番の第2楽章。
ウィンナワルツ類(JNS=ヨハン・シュトラウス JFS=ヨーゼフ・シュトラウス JL=ヨーゼフ・ランナー ES=エドゥワルド・シュトラウス W=ワルツ P=ポルカ・シュネル M=ポルカ・マズルカ)
「ジプシー男爵」序曲(JNSⅡ) 「求婚者たち」(JL・W)
「前へ!」(JFS・P) 「千夜一夜物語」(JNSⅡ・W)
「遠方から」(JFS・M) 「誰と一緒に踊る?」(ES・P)
「我が家で」(JNSⅡ・W) 「インドの舞姫」(JNSⅡ・P)
*アンコールは 「休暇旅行で」(JFS・P)
カーテンコールで、この名人たちが、ステージの一番前にずらり30人並ぶ姿は壮観だ。だけど、ミニ・ウィーンフィルでなくなる今の流れは、もうここまでにして欲しいな。料金も元に戻してくれないかな? ついでに言えば、ウィンナワルツ類も、ずらり並べたプログラムはもういいな。特別な演出もなく、後から後からこのような音楽を演奏すると、どうしても単調な感じがする。やはり、ドイツ古典派~ロマン派の交響曲をメインにして、アンコールでウィンナワルツ(ポルカ)1曲というのが聴き応えもあり、新鮮でもある「正しい」プログラムだ。