正気か?!新元号と内閣支持率

 おととい、4月3日(水)の朝、河北新報の第1面トップ記事は衝撃的だった。主見出しはまず「『令和』に好感73%」で、これは私の感覚と違うとは言え、ただ単に好きか嫌いかという問題なので、まぁ仕方がない。私が驚いたのはその次に書いてある脇見出しだ。「内閣支持9ポイント超増」とある。
 記事本文によれば、共同通信社が実施した全国緊急電話世論調査の結果らしい(私は河北以外でこれを取り上げた、もしくは独自に同様の調査をした新聞を目にしていない)。ちなみに、内閣支持率は3月調査と比べて9.5ポイント増の52.8%、「令和」に「好感が持てる」と回答した人に絞って見ると、内閣支持率は59.5%に上るという。どうやら、「令和」に対する好感が、内閣支持率を押し上げたということらしい。
 私にはまったく理解不能だ。仮に百歩譲って「令和」が素晴らしい元号だったとしても、それと政治(政策)が関係あろうはずもない。まして、「令和」が素晴らしいかどうかなんてまったく主観的な問題である。人間誰しも、これからの世の中が良くなって欲しいという願いは持っている。元号と世の善し悪しが関係するとは思えないが、まぁ、自分たちの気分を明るく前向きなものにするために、新元号を「いい」ものとして受け止めようという気持ちが自然に働くのは理解できる。それで明るく生きていけるなら、こんなただの符号をいじけた目で見てぶつぶつ不満を語っているよりはよほどいい。次期天皇に対する遠慮(はばかり)もあるだろう。
 だが、内閣というのは単なる行政の府ではなく、国会でぬらりくらりと不誠実極まりない、人をバカにしたような答弁を繰り返し、赤字財政の解消を言いつつ、100兆円を超える国家予算を組み、しかも、巨額の防衛費をアメリカに貢ぐ(=実質重視の表現)、あの安倍政権なのである。政権にしてみれば、まったく笑いの止まらない話であろう。首相、副首相や官房長官が、国民の反対側を向いて、にやにやと笑いながら舌をペロリと出している姿が目に浮かぶようだ。
 社会を良くしようと思ったら、徹底的に性善説に立ち、自分と感じ方や考え方の違う人間に対しても、肯定的な見方をしなければ始まらない。そんなことは、今更だれかに言われなくてもよく分かっている。そして、日々、そのように努力しているつもりである。しかし、元々、内閣支持率が40%台を維持しているというだというだけでもあきれていたのに、新元号の発表ごときでそれが更に10ポイント近くも上がったとなると、そのあまりにも単純・脳天気・軽薄な思考に対して、侮蔑と嫌悪感以外の何物も感じることができない。私の心は完全に分裂し、脱落する。
 3月11日のバカ騒ぎと同じこと。なんだか、月末に向けてとんでもないことが起こりそうだ、という嫌な予感が押し寄せてくる。十連休、不愉快な思いをせずに過ごすためには、テレビを付けないはもちろんのこと、新聞も止めてもらおうかな?いやいや、残雪深い山小屋あたりにこもって、読書か飲酒にでもふけっているのが一番賢明な過ごし方かも知れない。さて、本当にそうするかなぁ。