数珠つなぎのタンカー&高校生活の原点

(6月17日付け「Tr,平居の学年だより№10」より)

 先週の木曜日、ホルムズ海峡を通過中の日本のタンカーが武力攻撃を受けたことが、大きなニュースになった。確かに、日本の石油輸入の上で、ホルムズ海峡は生命線なので、多くの人が真っ青になるのもよく分かる。しかし、私は冷めた目で見ている。
 今回攻撃を受けたタンカーは、約1万9千トンという比較的小さなもの(←それでも仙台港に入る名古屋・苫小牧行き太平洋フェリーの約1.5倍!!)である。一方、現在主流となっているのは全長が300mを超える島のように大きな30万トン級のものだ。ところが、そのタンカーの積載量が3億5千万リットルであるのに対して、日本の1日あたり石油消費量は6億3千4百万リットル(2017年統計)。つまり、島のように巨大なタンカーが運んできた石油を、日本人はわずか半日で消費してしまう。これは、ペルシャ湾から日本まで半日間隔で巨大タンカーが数珠つなぎに航行し続けていないと、今の日本人の生活が大崩壊を起こすことを意味している。それは、なんとも危うく異常なことのように思われる。
 無制限に石油を消費する生活によって、使い捨て容器が氾濫してゴミが増え、二酸化炭素濃度の上昇による温暖化=自然災害の多発と激化が進んでいる。小さなタンカーが1隻攻撃されたくらいで青くなったところで、そんな私たちの生活を見つめ直せるなら、むしろいいことだ。武力行使を容認するわけではないが、私はそんなことを考える。

☆ 明日から前期の後半戦・・・常に原点を確かめ大切に。

 第1回考査の答案はだいたい今週中に返され、平常点を含めた成績(確定版)は7月8日(月)に出る。が、私は諸君に「自己評価を大切にせよ」と言ってある。大切なのは、自分なりに十分努力し、力を出し切れたかどうかだ。同じ「80点」でも、人によってその意味は違う。
 さて、一区切りついたところで、高校生活の原点=基本を確認しておこう。何事においても「基本」ほど恐ろしいものはない。一見簡単でありながら、それを徹底的に実行することは難しく、実行できれば何よりも大きな力を発揮する。「学校は第一に教科学習の場である」という原点を前提とした上で、以下の2点を復習しておく。

・諸君は自ら希望して塩高生になった。
(塩高での生活は、まず第一に「権利」である。)(権利は行使しなければ義務に変わる。)(義務は人を育てない。悪循環への第一歩である。)
・学ぶ人は何からでも学ぶ。学ばない人は何があっても学ばない。
(勉強の成果は、学ぶ側の主体性にかかっている。)

☆ 塩高ブランドの価値を高めよう

 「塩釜高校」はブランド(信頼度を示す指標)である。おそらく、世の中には、素直で行儀がよくて好感の持てる高校生、というイメージが定着していると思う。まずは、そのブランド力によって諸君が守られていることを知っておこう。だが、それは過去の塩高生が作ってきたものであり、今後の諸君の言動によって良くも悪くも変化する。
 スカートが少し短くなってきた生徒がいる、化粧っぽい生徒もいるのでは?ということが、また職員室で話題になっている。「また」というのは、規則違反をする人が現れることで、様々な不愉快が発生することが、先生・生徒お互いにとっていいことですか?という問題提起を既にしてあるからだ。違反は悪循環への入り口である。同時にそれは「塩高ブランド」の価値を下げることであり、当然のこと、迷惑は塩高生全体に及ぶ。
 私たちは、諸君が「誠実」な人間であることを願ってもいるし、信じてもいる。

 

(以上☆は、今日、考査終了後の学年集会で、私が多少の補足をしながら語ったこととほぼ同内容。)