コロナ対策に少し変化・・・しかし

 最近、ようやくコロナ対策への見直しの声が聞こえるようになってきた。私は、始まった直後から「まずいぞ」と言い続けている(→初期の記事)。世の中がようやく私に追いついてきた、ということだ(笑)。
 今日、韓国でも屋外でのマスク着用義務が解除になった。マスクが「顔パンツ」だという話は、もう半年以上前から耳にする。人間の慣れは恐ろしい。常にマスクの生活をしていると、それが当たり前、顔を見せるのは恥ずかしい、という文化が生まれてくる。個人情報保護やら、面倒なことを避ける傾向やらで、ただでさえも人間同士がバラバラになっている昨今、マスクがそれを加速させる。元々、人間というのは助け合わずには生きて行けない弱い存在なのに、助け合わなくても生きて行ける豊かさを幸いと、ついには顔まで隠しながら生きていくのは危うい。
 先月28日の毎日新聞に、Dr中川による「『検診自粛で死者増』現実に」という記事が出た。とても冷静ないい記事である。
 Dr中川によれば、初めてコロナによる死者が出て以来、コロナによる死者は1日平均32人、感染者の中での死亡率は約0.5%で、その大半が高齢者。一方、1年間にガンと診断される人は約100万人で、その4割弱の人が死ぬ。しかも、コロナと違って、働き盛りの人もガンにはかかる。コロナが始まってから、そのガン患者が4.6%も減った。特に、早期ガンの患者の減少が大きい。それは、検診を自粛して発見されなくなっているだけだ。もちろん、その人たちとて、最後までガンに気付かないわけではない。だが、見つかった時には手遅れの可能性が高い。果たして、コロナ感染を避けるために検診の自粛がいいのか?というような話である。いいわけがないではないか。とにかく、コロナにさえかからなければ、他がどうなってもよいというようなゆがんだ、極めて近視眼的な価値観が、取り返しのつかないガンによる死亡者を生むのだ。
 一昨日の河北新報で、コロナ対策の見直しが必要だと考えている都道府県が、34府県=72%に上る、という記事を読んだ。ついに、各県もゆがんだコロナ対策の問題に気付いたか、と思ったが、記事を読んでみると、やっぱりダメだこりゃ、と一気に期待がしぼんでしまった。見直しの方向性が悪すぎる。
 記事によれば、「今後必要となる対策」を複数回答で尋ねたところ、「飲食店中心の対策からの転換」と「高齢者・教育関連施設の対策強化」が半数を超えた、という。
 「飲食店中心の対策からの転換」はいいとして、今でも明らかに過剰な「高齢者・教育関連施設の対策」を、これ以上「強化」したらどうなるの?である。高齢者施設では、残りの人生幾ばくもない人が、家族や友人との面会も禁じられ、外泊もできず、ただひたすら「コロナにかからないように」というだけの生活を強いられている(私も、母が3月に施設に入ったからよく分かる。とても切実)。それはものすごく不幸なことではないのか?学校でも、「部活動自粛」「遠征禁止」「食べる時は黙食」「放課後はすぐに帰宅せよ」「行事は中止」「文化祭は校内発表のみ」「卒業式や入学式は対象生徒だけ」「調理実習もなし」「歌を歌ってはいけない」等等等等(←私の現在の勤務校でこれら全てが行われているわけではない。あちこちの学校について聞く話。誤解なきように)・・・・・・・・これで人間がまともに成長するだろうか?本来なら「いろいろなことに積極的に挑戦してみなさい。」「いろいろな人と付き合い、様々な価値観に触れた方がいいよ」と言うべきところ、全く逆のことを言っているのである。
 毎回同じことを言って申し訳ないが、今のコロナなんて、バカみたいに危険度の低い伝染病である。第6波とか言って、日本全国で、今なお3万人くらいの感染者が新たに出ているのに、重症者は200人に満たず(単純平均で1県4人弱)、死者は30人前後(1県1人未満)である。重症者も死亡者も多くは高齢者。しかも、コロナがなければ死なないのではない。何しろ、日本では毎日4000人弱の人が死ぬことになっているのである。更にしかも、聞くところによれば、コロナに感染している人が死ねば、本当の死因が腎不全だろうが、心筋梗塞だろうが、脳腫瘍だろうが、コロナによる死者に分類されてしまうらしい(本当かな?)。
 何においてもそうなのだが、因果関係が明瞭で、短時間のうちに結果が出る「分かりやすい」ものだけが優先される。しかし、本当に恐ろしいのは、その逆。場合によっては因果関係を証明もできない、長い時間の先に表れてくる影響である。生徒の精神的な成長を保証し、健全な社会を作るために学校の制限は全て解除。高齢者施設はせめて「コロナになってもいいから自由にのびのび過ごしたい人」用の施設と、「不自由でもいいからコロナにかかるリスクの低い生活がしたい人」用の施設と分けるくらいのことできないかなぁ?まぁ、そうなったら、ほとんどの老人が前者に行ってしまうと思うけど・・・。