塩釜神社の紅葉と雪

 11月以降もずいぶん暖かい日が続き、今年の冬はどなることやら、と思っていたら、今月に入ってようやく冬めいてきた。我が家も、ストーブに火を入れるようになったし、先の日曜日には車のタイヤ交換もした。その日曜日には、石巻でも初冠雪が見られ、我が家からの雪景色は美しかった。
 そして今日、朝起きたらみぞれ。場所によっては白くなっている。
 少しパラパラしていたので、電車を降りた時、どうしようかな?と思ったが、今日もまた塩釜神社経由で学校に行くことにした。この程度のみぞれ(雪)なら、傘を差さなくても歩ける、と思っただけではない。名残のモミジに雪が積もっている光景を見ることが出来るかも知れない、と思い、心引かれたからだ。
 石巻よりも塩釜の方が「雪」に近かったと見えて、ほぼ2㎝くらいの積雪がある。場所によっては滑って歩きにくいほどだ。
 モミジという木の魅力については、かつて一文をしたためたことがある(→こちら)。仙台一高という学校に通勤している時に初めて知ったのだが、モミジはすっかり色づいた時が魅力的なのではなく、色づき始めてから散るまでのドラマに価値がある、というようなことである。梢の先がほんのり赤みを帯び始めてから、全体が鮮やかに色づき、その後は比較的短時間で散ってしまう、それは人間の一生を凝縮したかのようなドラマである。その後私は、モミジというものを時間の流れの中で観察するようになった。
 少し意識してみていると、木毎の個性にもばらつきがあって面白い。まったく同じような場所に生えていながら、紅葉の時期も、葉の色も相当に違う。
 私が日参する塩釜神社では、10月20日過ぎに紅葉が始まった。それから1ヶ月半あまり。多くの木は既に落葉してしまったが、今、七曲坂の下り口に生えている木と、裏参道の入り口、石造りの趣深い五重塔があるのだが、その裏手に生えている木が、名残の紅葉を留めている。七曲坂のモミジは黄色が勝り、五重塔のモミジは完全に赤だ。そこに雪が積もった。街より30mほど標高が高いだけなのだが、街のみぞれがここではすっかり雪である。鮮やかで透明感のある色合いが実に美しい。
 この紅葉も、せいぜい後数日で完全に散ってしまうことだろう。それでも、ずいぶん長い間にわたって楽しませてもらった。それら2本の木の葉が落ちてしまうと・・・いよいよ本当の冬、ということである。学校もあと1週間あまり。