哲学

権力の性質(毛沢東の場合)・・・その4

毛沢東が言うように、戦争では、常に臨機応変の迅速な判断が求められる。しかも、戦略能力というのは天賦の才能であるようだ。凡人が何人もで会議を開くのではなく、天才が一人で即断即決するのでなければ、勝ちは望めない。そんな中で、毛に権力を集中させ…

権力の性質(毛沢東の場合)・・・その3

紅四軍において指導権を掌握した毛沢東は、その指導権を強化するため、1930年12月に富田事件を起こした。党内に反革命組織がいるというタテマエの下、多くの党員を逮捕、処刑したと言われる。いかにも、紅四軍内での指導権を握ったことによって、仮面…

権力の性質(毛沢東の場合)・・・その2

これらの方針の徹底として、毛は軍内に兵士委員会という組織を作った。これは大きな権限を持つ組織である。将校は、兵士委員会の監督を受けなければならなかった。将校が間違ったことをすれば、兵士委員会が制裁を加えることさえできたのである。 これらの民…

権力の性質(毛沢東の場合)・・・その1

昨今の不穏な情勢を見ていて、なぜこれほど滅茶苦茶な人間が権力者の地位に就くのであろうかと思う。一方で、私の専門である中国の現代史を見てみれば、プーチンに勝るとも劣らない専横の大御所・毛沢東がいる。私は昨年、毛沢東の権力掌握過程の初期につい…

戦争による必然

とても温かい。さすがの石巻も、昨日はついに20℃を超え、22.2℃。今日も20.7℃と20℃を超えた(それでも50㎞南の仙台や100㎞北の気仙沼より4℃以上低い。相変わらず、石巻の気候にはびっくり!!)。おかげで、昨日は我が家の南側、今日は西側…

「学力」と「成長」

先月の28日、文科省が、昨年度の全国学力・学習状況調査の結果に関して分析結果を発表した。どの新聞でも大きく取り上げていたのは、その中で、長期休校など、コロナに関するドタバタが、テストの結果に影響しておらず、学力水準は5年前と比べて下がって…

GIGAスクール構想に対する教員の態度

今日は、仙台で教職員組合の勉強会に参加していた。基調講演とも言うべきお話のタイトルは、「GIGAスクール構想・ICT教育を巡る情勢と教職員組合の役割」であった。お話の後、意見交換が行われた。いろいろな人が話すのを聞きながら、ちょっとまずい…

斎藤幸平『人新世の「資本論」』

この2日間、職場の同僚に勧められて斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社新書、2020年)という本を読んでいた。これはびっくり。環境問題がいかに深刻な人類的課題であるかから始まって、資本主義が環境問題克服と絶対に矛盾する理由、それを克服す…

情報は発信者の価値観を表す

このブログに書いている私の記事も含めて、あらゆる情報は、その情報を発信した人の価値観を表す。「全てを書く」ことが絶対に不可能である以上、どの情報を残してどの情報を捨てるかという判断がなされた結果として、整理された情報(主に文章)は存在する…

「文化」についての種明かし

(2月25日付「学年主任だより№36」より②) 【復習:「最後の学年集会」で話したこと】 1・2年生の考査との関係で、副担の先生にほとんど参加してもらえなかったのは残念だった。一方、参加できた先生方は、それぞれいいお話をしてくれたと思う。私に…

あ、今日春が来た!

(2月17日付「学年主任だより№35」より①) 一昨日、帰宅するとき雨が降っていた。雪ではなく雨である。 私は学生時代、縁あって、仙台市内のあるお寺の座禅堂という所で生活していた。朝食付きでタダだったので、下宿と言うより「居候」と言った方が正…

デジタル問題についてのふたつの記事

最近読んだデジタル問題に関する二つの新聞記事について書いておく。 ひとつは、2月3日朝日新聞に載った川島隆太氏(東北大学加齢医学研究所所長)のインタビュー記事。この方は、かなり前から携帯電話やスマホの、特に子どもに対する悪影響に警鐘を鳴らし…

制服の葛藤

(11月16日「学年主任だより№26」より②) 【意見・質問にも答えます・・・続・学年集会大復習】 予告通り、復習のために諸君の作文から一部を紹介しておこう。 「最近、3年生全体で緩んでいるのは自分自身も分かっていたから、こういう集会を開くのは…

日本共産党雑感

一昨日書いたとおり、私は今回の選挙の野党共闘を、小選挙区制度によって強いられたやむを得ない「野合」だと思っている。立憲民主と共産が共闘を組むに当たっては、特に立民の側にずいぶん抵抗があるという話はよく耳にした。ここで少し、共産党というもの…

安すぎる石油と安すぎる米

ガソリンが7週間連続で値上がりし、1リットル164円になったという話が、さも一大事という風に報道されている。例によって私は、バカではなかろうかと鼻で笑っている。燃やせば絶対に再生できない有限資源を、自分の金で買ったのだから何に使おうが文句…

改革ではなく革命を

水曜日の河北新報に、「命脅かす気候危機」という巨大な見出しの記事が出た。1面の3分の2にも及ぶ大きな記事である。それによれば、9月6日に、世界の220を超える医学や看護学の専門誌が、温暖化とその影響についての共同論説記事を掲載したらしい。…

負のレガシー

自民党総裁選に関するおびただしいニュースを、いつも通りの白けた気分で読み流している。自民党の総裁が直ちに首相となるわけだから、報道に熱が入るのは理解できるものの、それによって他政党の存在が霞んでしまうとなると、自民党にとって笑いが止まらな…

コロナに関する文科省通知の問題(2)

昨日の新聞に載った9月10日の文科省通知について、所感を述べることを目的としつつ、昨日はその前置きのような所で終わってしまった。さてさて本題。 今回の通知は、新型コロナウイルスに感染して出席停止になった中学生がいた場合、それが高校に知られる…

コロナに関する文科省通知の問題(1)

毎週末、土日のどちらか、60㎞ほど離れた所に住んでいる老母のところに生活支援のために行く、という話はおそらく何回か書いた。何しろ親だし、石巻に居着いてしまった親不孝の自覚もあるので、そのことについて文句などあろうわけもない。しかし、庭の草…

戦争の教訓と温暖化

今日は終戦記念日。日頃から、戦争こそが学ぶべき教訓の宝庫だと言っている私にとって、非常に重要な意味を持つ日である。 しかし、最近よく思うのは、戦争の教訓を戦争だけの教訓にしてしまったのではよくない、ということだ。そこにどのような人間の性質が…

オリンピック(3)・・・人間社会を映す鏡

夏休みに入る直前のこと。職員室のベランダから校庭を見ていたら、陸上部の生徒が「やり投げ」の練習をしていた。素人の私が見ても決して上手ではないことが分かるのだが、そんなこととは少し違う意味で感動的だった。スポーツの起源そのものではないか。 お…

学校で学んだのは「学び方」

(7月21日付け「学年主任だより№15」より) 私は、家事や勉強の都合もあり、電車が1時間に1本しかないという事情もあって、できるだけ5時半の電車に乗れるように努力している。(私は主夫です。また、某生徒と先日こんな話をしていたら、「先生も勉…

酒の値段

東京で4回目となる緊急事態宣言が出た。自粛を要請される飲食店は本当に大変だろうな、と思う。そんな中で気になるのは、「酒類の提供」が標的にされていること、飲食店の側でも、「酒を出せなければ経営が成り立たない」と言っていることだ。 と言うのも、…

夫婦同姓再考

夫婦別姓を認めないことが憲法に違反するのではないか?という問題について、最高裁判所の判決があった。様々なマスメディアで非常に大きく取り上げられているとおり、判決は「合憲」であった。 大法廷判決なので、どの新聞にも、15人の判事がどのような判…

トイレに行った運転士

かれこれ1ヶ月前の5月16日、東海道新幹線で「ひかり」号を運転中の運転士が便意を催し、走行したまま、車掌に運転台を見ていてもらって、トイレに行ったという事件があった。運転席を離れたのは3分間。その間に事故が起きたわけでもなく、結果オーライ…

終末へ向けての暴走

今週の火曜日、政府が「骨太方針」の骨子案なるものを経済財政諮問会議に提示した。基本的テーマは「新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナの経済社会の展望」で、4つある「新たな成長の源泉」の一つとして「官民挙げたデジタル化の加速」というの…

首長のワクチン接種

宮城県知事が、ワクチンの接種について自分を特別扱いせず、他の60歳の人と一緒に受けると語ったことがニュースになっていた。最近、あちらこちらの自治体で、首長等がいち早く接種を受けたことが批判を受けているため、あえてそのような宣言をしたものと…

人口減で国は滅びる・・・わけがない

夏至まで1ヶ月あまり。日が長い。私は毎朝、5時20分に起きるのだが、当然すっかり明るいし、夕方、6時半に帰宅した時にも明るい。明るいと海を見る。ところが、最近は珍しい船、商船以外の船が停泊していることがなく、少々退屈気味であった。そうした…

エスカレーターと法規制(2)

実際に、以前ならマナーや常識で対処できていたことが、法による規制を必要とするようになっているかどうか、その是非は確かめられない。ただ漠然とした印象では、おそらくその通りだろう、と思う。では、それが正しいとした上で、なぜだろうか? 今のような…

エスカレーターと法規制(1)

エスカレーターに乗る時は歩いてはならない。そんなことが言われ始めたのはいつからだっただろうか?理由は、立って乗っている老人や障害者にとって危険だから、である。 それ以前は、立っている人は右、左側のスペースは歩く人のためのもの、となっていた。…