音楽

当惑、フーガって何?

1ヶ月あまり前、ニコライ・カプースチンというロシアの作曲家について少しだけ書いた(→こちら)。その直後、その時には欲しい欲しいと思いながら、あまりにも高価で買いかねていた「24の前奏曲とフーガ」が一気に値下がりしているのに気がついた。私でも…

9ヶ月ぶりの演奏会

今日は仙台のアマチュアオーケストラ、仙台ニューフィルハーモニーのオータムコンサートというのに行った。何とびっくり、コロナ問題の勃発であらゆるコンサートが中止になったため、私が生の音楽を聴きに行ったのは、1月25日の仙台フィル以来なんと9ヶ…

ニコライ・カプースチン

10月4日、新聞のテレビ欄を見ていたら、「クラシック音楽館」の欄に「追悼ニコライ・カプースチン」とあるのが目に止まった。カプースチンってどんな人だろう?「クラシック音楽館」だから、クラシック音楽に関係するのは間違いないが、恥ずかしながら作…

カルロス・クライバー

私的に忙しい8月が終わり、ようやく一息ついた。いろいろたまっていた本を読んだり、音楽を聴いたりするぞ、と思い、8月16日に録画してあったEテレ・クラシック音楽館「いまよみがえる伝説の名演奏」という番組を見た。あまり面白いので2回も、である。…

山本直純のこと(番外)・・・小尾旭氏の訃報に接して

先週の木曜日、7月30日の朝日新聞で、小尾旭(おび あきら)氏(90歳)の訃報を目にした。2ヶ月前なら絶対に気に留めなかった小さな訃報である。というのも、記事にもあるとおり、小尾氏は山本直純のマネージャーを長く務めた方で、先日、私が山本につ…

山本直純のこと(2)

拙著『冼星海とその時代』が刊行されてから間もなく1年になる。タイトル通り、その本の中で、私は冼星海(しょうせいかい 1905~1945年)という作曲家の生涯と、彼が生きた時代状況とを考察した。中国国内に共産党と国民党との対立がありながら、外…

山本直純のこと(1)

山本直純(1932~2002年)という人を初めて知ったのは、ご多分に漏れず、「大きいことはいいことだ」という森永のチョコレートCMでだった。その後長い間、私は山本を仰々しく騒々しいただのタレントだと思っていた。それなりに優れた音楽家だと知…

私たちのメンツはつぶれたか?

先月末、突如の休校により、今年度の「学年だより」が2月28日を以て終刊となったことについて記事を書いた(→「図らずも終刊」)。ところが、当初の休校措置要請が3月24日までだったことから、30日の離任式は予定通り行う、それに先だって終業式も実…

佐渡の「英雄」

先週の水曜日、仙台市内で佐渡裕指揮する兵庫県芸術文化センター管弦楽団の演奏会に行った。平日だし、チケットも少し高価だったのだが、佐渡裕とプログラムの魅力に抗しきれず、のこのこと出て行くことになった。 プログラムとは、オール・ベートーヴェンで…

ぞろ目の演奏会

いろいろと多事で、なかなか更新できずにいた。多事の中身は、もちろん学校の仕事ではない(笑)。それでも、誘われれば飲みに行くし、音楽も聴きに行く。というわけで、昨日は仙台フィル第333回定期演奏会に行っていた。指揮は角田鋼亮、曲目は藤倉大の…

追悼マリス・ヤンソンス

11月30日に、指揮者マリス・ヤンソンスが死んだ。76歳。指揮者としては今からの10年間が円熟の時期だったのに。惜しい。 ただ1度、仙台でヤンソンス指揮の演奏会に行った時の話はかつて書いたことがある(→こちら)。ヤンソンスが曲とオーケストラ…

音楽の原点に立つ

職場で私は、一番端っこの席に座っている。だから、お隣さんは1人しかいない。そのお隣さんは音楽のA先生で、仙台ニューフィルハーモニーというアマチュアオーケストラの首席トランペット奏者でもある。1ヶ月ほど前、A先生から「平居先生、これ要りませ…

「第9」偉大なる成熟とアイデア

今日は、仙台にベートーヴェンの「第9」を聴きに行っていた。東北文化学園大学が主催、無料のコンサートである。思えば、私はこの1ヶ月に、3度も音楽を聴きに行った(既に書いた先週木曜日のスウェーデン放送合唱団の他、11月10日仙台市民交響楽団創…

寒い夜に北欧の熱い合唱団

昨夜は、東北大学の川内萩ホールで行われた、ペーター・ダイクストラ指揮するスウェーデン放送合唱団の演奏会に行った。チケットをいただいた上、かわいい合唱部の生徒を6人臨時引率である。仙台駅からホールまで歩く道すがら、寒いなぁ、これはどう考えて…

犠牲者名を残す愚

今日は、勤務先の高校が「芸術鑑賞会」だった。なにしろ、県内最大の公立高校。学級減の影響で、私が赴任した3年前よりは100人近く減ったとは言っても、生徒数は1100人を超える。教員を入れると1200人だ。全員を収容できるホールというのが、宮…

すてきなショパンと怖いベートーベン

我が家のすぐ下、東日本大震災の津波に襲われ、その後火事で焼けた石巻市立門脇小学校を長らく覆っていたカバーが外された。この校舎は、震災遺構として部分保存が決まっている。そのための工事を始めるに当たって、全貌を公開するために覆いを外したのだ。 …

単純平易の恐ろしさ

今日は娘とアニエス・ルテステュのバレエを見に、多賀城まで行った。2013年に引退したパリ・オペラ座のエトワールである。その世界においては神のような存在であるが、なぜかこの東北の田舎町で「変貌する美」と題した公演を行ったのである(日本で3公…

演奏よりも解説?・・・今年は父

昨日は、仙台フィルの第330回定期演奏会に行った。指揮者はなんとバッハ・コレギウム・ジャパンの総帥である鈴木雅明氏。昨年9月の定期演奏会は、そのご子息・鈴木優人氏が指揮者だったから(→その時の感想)、仙台フィルも面白いことをするものだ。曲目…

エリシュカの死

昨日の新聞(朝日・毎日)で、今月1日にラドミル・エリシュカが亡くなったことを知った。88歳。チェコの指揮者で、日本との関係では札幌交響楽団名誉指揮者。この人については、昨年の春に一文を書いたことがある(→こちら)。いま、何かを付け加えること…

野坂操寿と伊福部昭

8月28日の朝日新聞で、野坂操寿(恵子)氏の訃報を見つけた(他紙は翌日)。81歳。箏の演奏家である。私にとっては、伊福部昭の音楽の独奏者として有名。 木部与巴仁(きべ よはに)も『伊福部昭の音楽史』(春秋社、2014年)において、「1990…

「我が祖国」=熱演<共感

昨日は、仙台フィルの第329回定期演奏会に行っていた。下野竜也の指揮によるスメタナ「我が祖国」全曲である。 指揮者によるプレ・トークの中で、下野氏は仙台フィルにおける「我が祖国」演奏史をたどった。それによれば、仙台フィルがこの曲(全曲)を演…

仙台国際音楽コンクール

今日は仙台国際音楽コンクール(SIMC)・ヴァイオリン部門の入賞者ガラコンサートというのに行っていた。既に有名な話かと思うが、仙台では2001年から3年に1度、協奏曲を課題曲の中心とするピアノとヴァイオリンのための国際コンクールを開催して…

ショスタコーヴィチ(3)

先日、我が家の庭の生ゴミを捨てている場所からカボチャの芽が出て、勢いよく伸びているという話を書いた(→「ショスタコーヴィチ(1)」冒頭)。いつになったら花が咲くのかなぁ、と思っていたところ、3日くらい前から咲き始めた。特に予定のない今日、朝…

ショスタコーヴィチ(2)

ショスタコーヴィチの最もよき理解者は、チェリストのロストロポーヴィチとソプラノ歌手であるヴィシネフスカヤ夫妻であったことは間違いないと思われる。ショスタコーヴィチ研究の権威であるファーイも、ロストロポーヴィチ夫妻が実質的な亡命のためソ連を…

ショスタコーヴィチ(1)

どうしたら消費するエネルギーを減らせるか、ということを非常に重要な問題意識として持っている私は、半年ほど前から、生ゴミを庭で処理することにした、という話はいつぞや書いた(→こちら)。それは今でも継続している。自然の能力というのは偉大なもので…

輝くステージ・・・吹奏楽部の定演

昨日、実家から石巻に戻ってくる途中、多賀城市文化センターで行われた塩釜高校吹奏楽部の定期演奏会に寄り道をした。旧塩釜高校と塩釜女子高が統合して10年目で「第9回」。それは2011年に東日本大震災のために定期演奏会を開催できなかったからであ…

一体化する流儀

昨日、拙著の3校を返送し、少し身軽になった。今日からまだ休みが7日間=1週間もある。この1週間あまり、酒を飲みに行くこともなく校正に没頭していたのだが、1日だけ作業を休んだ。26日(金)、「トヨタ・マスタープレイヤーズ、ウィーン」の演奏会…

「奔放」と言うに尽きる!

昨晩は、ファビオ・ルイージ指揮デンマーク国立交響楽団の演奏会に行っていた。ファビオ・ルイージについては、以前、彼がN響を指揮した時の演奏について、少し書いたことがある(→こちら)。私よりも3歳年上なのだが、メトロポリタン歌劇場首席、ウィーン…

ウグイスと調和する音楽

昨日は、二つの音楽会を「はしご」してしまった。 まず行ったのは、仙台フィルの第326回定期演奏会である。今年、仙台フィルの「指揮者」という地位に就いた角田鋼亮という人が、定期演奏会にデビューするのと、プログラムの面白さから、早い時期にチケッ…

ロト=シエクルの「春の祭典」(4)

グラズノフは、タネーエフが隣室で自作の交響曲をピアノで演奏するのを壁越しに聴いて、それが終わった瞬間に姿を現し、完全な形でピアノで弾いてみせたそうである。ショスタコーヴィチが述べている逸話だが、一方、そのショスタコーヴィチも、レコードで1…