人物

やむにやまれぬ告別式

昨日は、組合の会議があって、そちらに出る予定だったにもかかわらず、急遽キャンセルし、知人の告別式に参列するために岩沼市まで行っていた。亡くなったのはNさんという7年前に死んだ父の同僚である。 Nさんと父との縁は深かった。父よりも7歳年下なの…

これを楽しむ者にはしかず

先月の20日に、6人の生徒と一緒に塩釜まで、カツオ一本釣り漁船の見学に行った話を書いた(→こちら)。その後、6人のうち4人は、その漁船への就職が決まった。社長の話によれば、カツオ漁船に新卒の高校生が4人も来るというのは、業界でちょっとした話…

輝く長老の価値

昨日の朝日新聞「思い出す本、忘れない本」欄では、自民党の元幹事長・古賀誠氏がM・ウェーバー『職業としての政治』を取り上げていた(インタビュー記事)。ひどく表面的な印象に基づく偏見で申し訳ないが、似合わないな、と思った。実は、古賀氏に関する…

彼は弱い人なのだ・・・首相の戦後70年談話について

8月15日の新聞で、かねてより注目されていた戦後70年の総理大臣談話というものを読んだ。冒頭、「百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。(中略)日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアや…

名匠・秋山和慶

昨夜は、仙台フィルの第293回定期演奏会に行った。お目当ては、指揮者の秋山和慶。曲目は、カリンニコフの交響曲第1番とチャイコフスキーの「悲愴」であった。 秋山氏はコンクール入賞歴が無く、スクーターでヨーロッパに飛び出したなどという逸話にも事…

「本物」佐伯敏子さん

ちょうど1週間前、7月10日の毎日新聞「消せない夏 ヒロシマ・ナガサキ(中)」という欄を一目見て、佐伯敏子さんの名前が目に飛び込んできた。広島の被爆者の代表として取り上げられている。 原爆被爆者については、このブログでも過去に2回書いたこと…

ある「典型」の姿

『石巻かほく』という新聞がある。石巻地区限定のものだが、名前で分かるとおり、全国一の地方紙『河北新報』の子会社なので、『河北新報』を購読すると、自動的に『石巻かほく』も購読することになる。月200円なり。拒否できるのかどうかは知らない。 さ…

「天皇」論

昨日、今日と、天皇がパラオを訪問したというニュースが、テレビでも新聞でも大々的に報道されている。これほど天皇報道が過熱したのは、久しぶりなのではないか?とにかく、天皇夫妻の姿を目にすることの多い数日である。禁断の実を手にするような危うさを…

気仙沼線全通の熱狂から考える

冬休みに、亡父の蔵書の中に宮脇俊三の『時刻表2万キロ』(河出書房新社、1978年)という本を見つけて、手に取った。宮脇俊三という「乗り鉄」のご本尊のような人は、『時刻表昭和史』という名著の執筆者として、私にとって敬意の対象となっている(2…

宇宙の心・・・葉室頼昭『〈神道〉のこころ』

1週間ほど前に、人から薦められて、葉室頼昭『〈神道〉のこころ』(春秋社、1997年)という本を読んだ。私をよく知る人は、「平居が神道?・・・らしくないな」などと言うかも知れない。確かに、神道というのは、天皇陛下万歳!!実に古めかしい右翼的日本…

新聞記者・白井千尋・・・宮水百年史補遺

昨日、千葉県在住の知人から郵便が届いた。政治とも市民運動とも無縁な知人である。用件を記したお手紙の他に、何の関係もない新聞記事が1枚入っていた。今年3月13日付けの『赤旗』に掲載された「第五福竜丸と「赤旗」 保存訴えた初の記事」という記事で…

おひさま村教育研究所

新聞各紙で圧倒的なスペースが集団的自衛権問題に費やされていた先週の金曜日、『河北新報』の「持論時論」という投稿コーナーに、「おひさま村教育研究所代表 千葉義明(57歳・多賀城市)」なる人物の「教員の入学式欠席 論ずべきは公教育の質」という文…

映画『天心』と岡倉天心

昨日は、ある人から誘ってもらい、松村克弥という映画監督と、石巻市内で酒を呑んでいた。数名のごく小さな会である。何でも、最近『天心』という映画(出演は竹中直人、中村獅童ほか)が完成し、11月半ばから一般公開が始まるということで、人の縁もあり…

日中民間交流の「生き字引」

(9月30日付け学級通信より) めっきり秋らしくなってきた。郊外に出ると、稲刈りが始まった田園風景が、これこそが「日本」と思わせてくれるような風情を漂わせている。果物も豊かになったし、いい季節だな、と思う。 ところで、もはや1週間も前の話と…

ゴッホは造形美術家である?

先日シャガールについて書いたついでに、なんとなく「絵画シリーズ」で、ゴッホについて書いておこう。宮城県美術館の特別展は、シャガールの前はゴッホだった。とはいえ、私は行っていない。これも相当に心引かれていたのだが、なかなか時間が取れず、時間…

マルク・シャガールの絵

美術館に足を運ぶことは少ない。学生時代はよく絵を見に行ったし、旅行先では、それなりに訪ねるのであるが、最近は年に一度あるかないか、といったところである。思えば、このブログでも、「音楽」というカテゴリーはあるのに「美術」はなく、どこそこの美…

哲学の快感・・・内田樹『最終講義』

1年近く前に、尊敬すべき先輩から内田樹氏の『最終講義』(技術評論社、2011年)という本を薦められた。講演集である。読もうと思っているうちに、時間だけがどんどん過ぎていった。7月に参議院議員選挙があった後、内田樹氏による選挙結果に関する長…

カール・リヒターについて(その2)

本というのは、書いてあることの問題点を指摘するのは簡単だが、書いていないことについて、それが書かれていないことに気付き、その意味を考えるのは容易でない。私も、『カール・リヒター論』を一読した時には、高校教諭がこれだけの本を書けることについ…

カール・リヒターについて(その1)

6月7日に、鈴木雅明指揮によるJ・S・バッハのロ短調ミサ曲を聴きに行き、ひたすら楽しかった、だけどこれは「ミサ曲」としてなんだか変だぞ?という話を書いた。 帰宅後、ではその対極にある強い宗教性を感じさせる演奏とはどのようなものだろう?と考え…

ビルマ人はミャンマーに帰れるか?

3日間の関西行きの最終日は、東京で、私がこよなく敬愛するビルマ人亡命者M・A氏(63歳?)と会っていた。 彼の娘と孫娘が滞在許可が切れるのを機に、3月末に祖国に帰ることが決まった。この孫娘は、日本で生まれ、日本語もビルマ語も流暢ということで…

久しぶりで在日朝鮮人問題を考えた(2)

待ち合わせ場所は、在日朝鮮人の日本を代表する集中地区・鶴橋である。大阪生まれの兵庫育ちである私は、大阪については多少知っているつもりだったが、実は、鶴橋を真面目に歩いたことがない。在日朝鮮人による独特の社会と町並みが形成されていると耳にし…

秋保が「なんばグランド花月」に!・・・小野田正利氏の講演

先週末の2日間は、秋保の某ホテルで、教職員組合の勉強会に出席していた(一応、私が形ばかりの実行委員長)。開会行事に続いて行われた記念講演にご登場いただいたのは、大阪大学大学院教授、「モンスターペアレント問題の第一人者」という触れ込みの小野…

大相撲の隠れたドラマ

大相撲が特別好きだというわけではないが、私はどんな分野、どんな種目であれ「一流」が大好きなので、一流の力士とその取り組みはほどほどに気にして見ている。誰のファンということもない。 初場所は昨日、日馬富士がめでたく優勝した。横綱ともなれば、優…

文は人なり?・・・Mariaの言葉

数日前のこと、私の本は、あちこちで買えるようになっているのかな?と少し気になったので、いくつかのネット書店を覗き見してみた。すると、既にどこでも扱っているようだったが、Amazonには既にレビューが出ていた。Mariaと署名がある。もちろん知らない。…

チェリビダッケ雑感(2)

CDでブルックナーの第8番を聴いてみて、そのあまりにもすばらしい演奏に驚嘆した。確かに、以前の印象通り、テンポは非常に遅い。マタチッチの演奏が74分であるのに対して、104分(どちらもノヴァーク版。もちろん拍手は除く)。実に、ベートーベン…

チェリビダッケ雑感(1)

11月3日に、仙台では久しぶりとなるブルックナー交響曲第8番の演奏会があるというので、これは何としてでも聴きに行かなければ、と思いながら、これまた久しぶりで録音をあれこれ聴いてみたいと思い、そんなことに時間を費やす夜が続いていた。 私は今ま…

藤野厳九郎記念館・・・その2

『仙台における魯迅の記録』によれば、藤野先生は、1874(明治7)年7月1日に、現在の福井県坂井市下番で医者の家庭に生まれた。愛知医学校(現名古屋大学医学部)を卒業後、多少の紆余曲折を経て、1901(明治34)年10月から、仙台医学専門学…

藤野厳九郎記念館・・・その1

出かける前に、福井で手に入る半日の自由時間に何をするか、例によって(←2月6日記事参照)地図を見ながら、面白そうな場所探しをした。私の目に留まったのは、芦原(あわら)温泉にある「藤野厳九郎記念館」である。この名前を見付けた瞬間、「ああそうだ…

ギルバート・キャプランという人

仙台での『復活』演奏会では、知的好奇心をひどくくすぐられることがひとつあった。それは、そこで使われていた「キャプラン版」という楽譜のことである。 私は、版の問題と言えば有名なブルックナーを、ハース版で演奏しようがノヴァーク版で演奏しようが気…

短歌の定型性について(1)

2010年2月17日に、私は高校時代の校長であられた歌人・米口実先生について書いた(→こちら)。当時、私は先生がご存命かどうかも知らなかったのだが、最近になって、米口先生の消息についてコメントを下さった方がいて、先生が90歳でご存命であるこ…