震災

万石浦の防潮堤のことなど

いま栽培実習場に行くと、先日孵化させたヒラメの幼魚を見ることが出来る。体長数ミリの、半透明の幼魚である。私も初めて見て知ったのだが、生まれたばかりのヒラメというのは、目を正面に向けて、絶えず水中を泳いでいる。これが、成長とともにだんだん左…

「震災遺構」と「水産教育」についての作文

『石巻百景』というホームページがある( http://ishinomaki-photo.blogspot.jp/ )。最近はけっこう有名になっているらしく、『石巻かほく』という新聞でも、毎週日曜日にこのHP運営者による石巻紹介記事が連載されている。私がどういう縁で知り合ったの…

動物→怪獣は昇格?降格?

(6月26日付け学級通信より) 昨日の話、ある先生から「平居先生んとこの怪獣、相変わらず元気そうですね!」と声をかけられた。私は一瞬何を言われたのか分からず、「怪獣?」と聞き返したところ、「先生の可愛いE3の怪獣たちですよ・・・」と言われ、思…

久しぶりに、我が家からの風景

久しぶりで気持ちのよい、雨らしい雨が降った。植物は生き返ったことだろう。 そう言えば、しばらく我が家からの風景をレポートしていないことに思い至った。 被災して家屋の無くなった荒れ地に、ものすごい量のシロツメクサ(クローバー)が生えて花を咲か…

「TETRA」物語

私の勤める宮城県水産高校に、「TETRA」という名前の船外機付き和船がある。最近、ふとしたことから、この船に関するある事情を思い出した。『それゆけ、水産高校!』にも書かなかったことだし、他愛もない話なのであるが、ちょっと書き留めておこうと…

明日から石巻市長選挙・・・巨大防潮堤はなぜ争点にならないのか?

明日から、石巻市の市長選挙が始まる。この問題山積の石巻で、あえて火中の栗を拾う覚悟を持つ人が4人もいるというのは驚きだが、なんだかパッとしないなあ、と思う。今の石巻で、震災からの速やかな復旧・復興を訴えるのは当たり前の話だ。問題は、どのよ…

ひねくれ者の震災2周年(2)

新聞やテレビでは、例によって「教訓を伝える」とか「体験を風化させない」という言葉が、これでもかこれでもかと繰り返されていた。何度か書いたことだが、自分の体験はせっせと人に伝えようとするのに、ふと立ち止まって、自分は過去の人の体験から何を学…

ひねくれ者の震災2周年(1)

震災から2年が経った。週末、我が家の周り、いや被災地全域で繰り広げられる大騒ぎにはほとほとあきれ果てた。陸前高田の「一本松」の復元なんて、申し訳ないが、あまり正気の沙汰とは思えない。レーニンや毛沢東の遺体を永久保存するのと似たような心性で…

仙石線の「旅」

今日は、朝から子供会の「資源回収」(昔は廃品回収と言った。この変化は、時代の思想を表していて面白い)、その後2時間ほど、我が家の視界を邪魔するようになってきた桜の木の枝切りに汗を流し、終わると仙台・名取に向かった。 仙石線で仙台に向かうこと…

久しぶりで写真を撮った・・・我が家からの風景

今日は、珍しく何というほどの予定もない本物の休日であった。風が強く気温は低かったが、天気は良く、ストーブを消しても部屋の中が17度まで上がった。 約1年ぶりで庭から南浜町の写真を撮った。震災後、半年に一度ずつ定点観測をしようと思っていたのだ…

「被災地の高校生」

先週土曜日の午後、関西からある著名な教育学者が石巻に来た。事前に知人から、老先生が高校生の話を聞きたいとおっしゃるので、適当な高校生を3〜4人紹介してくれないか、と話があった。そこで、宮水の選りすぐりの生徒4名に、我が家に来てもらった。私…

今年の教育長交渉

今日は、年に一度の教育長交渉があったので、仙台(県庁)へ行っていた。 私は、組合の交渉も、被災地の様々な説明会と同様、時として非常にエゴイスティックで狭量な追求が行われるので、嫌だなと思うことがたびたびある。しかし、今日は、時間が限られてい…

これは本当に「津波」のせいか?

先週の金曜日の夜、NHKの「クローズアップ東北」という番組を見た。被災地の小学校で、子供たちの肥満が進んでいるという。取り上げられていたのは、震災前の水産高校のすぐ近くにある渡波(わたのは)小学校である。ここは、1階の半分以上の高さまで津…

「桃浦かき生産者合同会社」という試み(2)

牡鹿半島南側、県道2号線沿いで最も石巻寄りに位置する桃の浦には、震災前65軒の家があった。津波でそのうち62軒が流失・全壊し、居住不能となった。現在、桃の浦に住んでいるのは、3軒4名に過ぎない。65軒のうち、カキの養殖をしていたのは19軒…

「桃浦かき生産者合同会社」という試み(1)

今日まで3日間、水産高校の2年生は、インターンシップに行っていた。今日、私は自分の受け持ちの会社という所に、生徒の様子を見に行った。 先日も書いたとおり、私の受け持ちの一つに、「桃浦(もものうら)かき生産者合同会社」というところがある。震災…

津波とセイタカアワダチソウ

かれこれ2週間ほど前のことになる。我が家のさほど広くない庭に、セイタカアワダチソウが4本ほど花を付けているのに気づいた。黄色い花とは言っても、およそ菜の花や山吹とは違って、「可憐」とか「清楚」とか「奥ゆかしい」といった形容とはほど遠い、軽…

「燃えた門脇小学校校舎をどうするか」の説明会

昨晩は、「門脇小学校施設(校舎等)の取り扱いに係る説明会」というのが行われた。門小の統廃合ではなく、震災で津波に襲われた上、炎上して廃墟となった校舎をどうするか、という問題がテーマである。 冒頭の市教委教育次長なる人の話(挨拶)を聞いている…

門脇小学校の今後について・・・その3

先週の水曜日(18日)夜は、「門脇(かどのわき)小学校統合・再編等に関わる臨時PTA総会」というのに出席し、昨夜は市教委(正しくは、市教育委員会の事務局。以下同)による「石巻市立門脇小学校統合・再編等検討委員会における検討内容説明会」とい…

ガレキの広域処理はもったいない

ガレキの広域処理が問題となっている。一刻も早く処理して、復旧を加速させたい被災地では、自分たちによる処理が追いつかないので、ガレキを全国に運んで処理しようとするが、放射能汚染への心配から、受け入れてくれる自治体がないという。つい先頃、石巻…

風化は自然の摂理である

暖かい。一方で、雨がよく降る。今日、数日ぶりで北上川の土手を歩きに行ったら、風景がずいぶん変わっていた。北上川は、更に一層大きな川になっていた。もともと大河である故に、少々の雨では水位の変化しない、その意味でも日本離れした川である。多分、…

荻浜中学校の風景

昨日は、牡鹿半島にある石巻市立荻浜中学校という所から、「高校の先生の話を聞く会」を開くので来て欲しいという依頼があり、水産高校の営業係である私が出掛けて行った。 荻浜(おぎのはま)は、万石橋を渡って牡鹿半島に入ってから車で約20分の所にある…

「震災」という大義名分

先週の土曜日は、娘の通う門脇小学校の授業参観、PTA総会があって出席した。 総会では、PTAの会則改正が提案された。その中でも、「地区会の設置並びに運営に関する規定」は全面削除という大規模なものだった。提案したしかるべき地位にある某氏が、提…

明るいか?暗いか?・・・宮水の春

久しく宮水のことについて書いていなかった。この1ヶ月で、いろいろな変化があったので、新学期が始まる前に書いておこう。 2月の末、渡波の新実習棟に待望の電線が引かれた。これについては、昨年11月18日と今年1月19日に書いたとおり、周囲の民家…

類例の増加は、比類の無さを確かめさせる

3月16日、もう15年も昔の卒業生から電話がかかってきて、石巻市内で酒を飲んだ。同級生が5人集まり、今の生活やら高校時代の思い出やら、他の同級生の近況やらを話していた時、3年生の時のクラスで、Hだけが震災で死んだ、という話になった。 私は、…

無言館・・・石巻での展示会と講演会

石巻で「無言館」の所蔵作品展というが開かれている。私は、20日に絵を見に行き、今日は、館主・窪島誠一郎氏の講演を聴きに行った。 「無言館」とは、戦没した夭折画家の遺した絵を展示している私設美術館で、長野県上田市にある。1997年の開館。私は…

NHK特集「三陸大津波 忘れられた教訓」

3月11日の石巻は大変なことになりそうだ、鬱陶しいから脱出しよう、と思っていたのだが、石巻にいなければならない事情があって、離れられなかった。 眼下の南浜町は、朝から、いつもにもましてたくさんの人が詰めかけていた。以前そこに自宅があった人々…

その後のことは「社会現象」である

明日で震災から1年になるという。最近、震災に関する身の回りのことについて書かなくなった。そんな私の頭に毎日のように浮かんでくるのは、2008年に、益川敏英氏がノーベル物理学賞を受けた時のコメントだ。 「私の喜びは、私たちの理論の正しさが実験…

ホンネとタテマエ

この何日か、遺体捜索の記事が新聞によく載っている。かの大川小学校の近くでは、遂に川の水を抜いての捜索が始まったそうだ。この寒い季節に、海でも相変わらずダイバーが潜って遺体探しをしている。ご苦労なことだと頭が下がる。 私は、死んでいることに疑…

白菜の妄言・・・富山で話したこと

先日書いた通り、先週の土曜日に富山で「お話」をした。もともと、11月末に東京で「お話」をしたのがきっかけだった。 東京の時は、45分が持ち時間で、私は淡々と3月11日以来の被災地と被災した学校の話をし、ここから何を得るかについてはお任せしま…

言葉の意味を知る・・・大川小学校のことから

生徒74名、教員10名が津波で亡くなったという石巻市立大川小学校の遺族向け説明会(3回目)が、1月22日に行われた。質疑応答を含め、会は3時間に及んだという。その時の市教委の説明と質疑応答のあらましが、25日から今日まで、7回にわたって、…