2014-01-01から1年間の記事一覧

フランス・ブリュッヘン

8月15日だったかの新聞で、フランス・ブリュッヘンが死んだことを知った。オランダ生まれのブロック・フレーテ(リコーダー)奏者・指揮者である。享年79歳。 なぜ、半月近くも前の訃報を今頃取り上げるかと言えば、その後、例によって、我が家にあるブ…

医療過疎の壁

東北地方に新設されるという医学部の姿が見えてきた。今日の『河北新報』によると、東北薬科大学(?を母体とする大学)になりそうだ。宮城県が手を挙げた時点で、私はすっかり県立の医学部に決まりだ、と思っていたので、この決定はとても意外だ。琉球大学…

小さな音の吸引力・・・荘村清志の演奏会

昨年の春、日曜夜のEテレの「らららクラシック」という歯の浮くようなタイトルの番組が、「クラシック音楽館」に変わり、質の高い演奏会をじっくり聴かせてくれるようになったのは喜ばしい(「ららら〜」は短縮して土曜日の夜に移動)。一方、それによって…

遠い遠い南極

宮水は、なんと先週の金曜日から学校が始まった。できるだけ長期休業を短くすることが学校としての真面目さを表す、と思っているかのような、昨今の風潮も影響しているようには思うが、就職試験解禁までに指導の時間を確保したいという「実」が確かなので、…

からまれる

たいした話ではないのだが、今夏の中国のひと場面を書いておこう。 場所は武漢の傅家坡バスターミナル前の地下道に下りる階段である。私の左腕(肘)が、すれ違いざまにほんの少しだけ誰かの手と触れた。L字型になっている階段の真ん中あたりで、私と腕が触…

ガイドブックにない桂林(3)

桂林に関する様々な文献の中で、最もよく見かける地名は「桂西路」である。ここは、書店(出版社を含む)が集中していた地域であった。今回の連載の第1回で見たとおり、抗日戦争期に桂林が繁栄した重要な理由のひとつに、紙の供給が豊富であったことによる…

ガイドブックにない桂林(2)

蒋介石の重要な対抗勢力であった新桂系軍閥であるが、対等な力を持つほどにはならなかった。その結果として、蒋介石の言動によって桂林の政治状況も大きな影響を受けた。第2次国共合作が成立したとは言っても、蒋の思想が変わったわけではなく、1939年…

ガイドブックにない桂林(1)

桂林に行った、と言うと、「あっ、例の山水画の風景ね?」と必ず言われる。「家族も置いて暢気に・・・」とか、「うらやましい」とか言われたり、そんな顔をされたりもする。仕方のないことだ、と思う。日本で出ているいかなるガイドブックにも、桂林と言えば、…

食糧自給率を高めるには・・・

8月10日の『河北新報』社説は、食糧自給率の問題を取り上げていた。これは温暖化(含エネルギー資源問題)とともに、かねてより私が最も重要視し、あちらこちらで述べてきた問題である。社説には大きな問題があったので、一言書いておこうと思っていたら…

部活動手当廃止論(?)

8月11日、宮城野高校で公務を終えると、私はそのまま県庁に向かった。お盆の直前だというのに、組合と県との交渉が行われることになっていたからである。問題となった県からの提案は、「障害児学校(支援学校)教員の手当を削減し、それを原資として、部…

教員免許というタテマエ

どろ〜んとした疲労感が抜けない。中国に行く前からのような気がする。7月に行われた職場検診の結果は、素人目にも極めて軽微と分かる境界値が一つあっただけ。養護教諭が、「平居先生の年齢で、こんなきれいなデータが並んでいる人めったに見られませんよ…

帰国しました

中国から戻ってきた。ある程度予想していたとおり、狂ったように暑かったので、石巻に戻ればさぞかし快適だろうと思って帰って来たところ、思いの外に暑くてすっかりまいってしまった(日本はエル・ニーニョで冷夏のはずだったのでは?)。しかも、35〜3…

今年の夏休み

火曜日に閉講式というものが行われ、昨日から夏休みとなった。 申し訳ないが、教員としては珍しいほど「暇」な立場にいる(←これがいいとも限らない、というのは最近よく思う。少し居場所がない感じだ。やり甲斐があって忙しい、というのが理想)。 1月だっ…

オバマ大統領の不甲斐なさを恨む

なんとかならないかなぁ、何か出来ることないかなぁ、と思いながら、イスラエルによるガザ攻撃のニュースを見ている。パレスチナ問題と私の関係については、かつて書いたことがある(→こちら。翌日に関連記事有り)。その時のタイトルは「オバマ氏の発言を熱…

高校野球宮城大会決勝

昨日の「オーシャンキャンパス」は、思ったほどひどい雨にもならず、そこそこの来場者もあって、いいイベントになった。 今日は、高校野球宮城県予選の決勝戦(利府×佐沼)を見に行った。 宮城県は「仙台育英」「東北」という私学の二強が圧倒的に強く、この…

急行「八甲田」と「津軽」(2)

急行「八甲田」は、1日1往復の夜行列車であったが、私が利用したのはもっぱら下り列車で、仙台からである。なぜか、上り列車は利用したことがない。上野発19:10、青森着6:15で、仙台は0:24着、0:46発であった。この約20分の停車時間に…

急行「八甲田」と「津軽」(1)

客車による旅の記憶シリーズ(?)3回目(前回はこちら)は、急行「八甲田」である。電車化されることもなく廃止されてしまい、今は走っていない。東北本線経由で上野青森間を走る夜行急行列車であった。私は「客車」に対する並々でない愛着と、その廃止を…

「オーシャンキャンパス」

今週末、3連休の中日、7月20日(日)は、我が宮城県水産高校の学校開放行事「オーシャンキャンパス」である。 少なくとも、二昔前にはなかったことであるが、最近は全ての学校で「オープンキャンパス」という学校開放行事を行っている。狙いは、受験を控…

灯台もと暗し・・・『紙つなげ!』を読んで

先週末、妻から勧められて、佐々涼子『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている〜再生・日本製紙石巻工場』(早川書房、2014年)という本を読んだ。我が家から徒歩10分の所にある、日本製紙石巻工場の震災後1年間の記録である。私は勧められた当初、そん…

復旧工事の怪・・・栽培実習場の防潮堤その後

昨日、元毎日新聞社記者・西山太吉氏が起こした、1972年の沖縄返還を巡る日米間の密約文書開示請求に関する最高裁の判決が出た。これで、原告敗訴は確定である。1審では勝ったのに、2審と最高裁で負けた。上に上がるに従って、結論以外の部分もどんど…

タテマエの暴走

日曜日の新聞各紙は、アテネオリンピック・銀メダリストで日体大アーチェリー部の部長・山本博氏が、未成年部員に飲酒を勧めたとして部長を辞任したことを伝えた。発覚から辞任に到るいきさつは分からない。私が見た範囲では、わざわざ山本氏の顔写真まで載…

総論反対各論賛成

自民党のしようとしていることなんて全て間違いだと思い、連日、テレビのニュースで得意顔の首相の顔を見ることに甚だしい不快と苦痛とを感じている私であるが、めったにない機会なので、最近接したニュースの中で、二つ、私が自民党を評価していることを書…

鉛筆の持ち方

最近、授業中に生徒を見ていて、鉛筆の持ち方がとても気になる。変だ、変だと思いながら、変な鉛筆の持ち方をしている生徒を数えてみたら、どのクラスでも、4分の3くらいに上ることが分かった。これは尋常でない数字である。どのクラスもさほど変わりがな…

「少子化」私見

昨日は、仙台の河北新報本社でNIE(Newspaper in education=教育に新聞を)の推進委員会というのに出席していた。昨年度で宮水の研究協力校としての指定が切れたものの、引き続いて私個人に宮城県NIE委員会の推進委員を引き受けて欲しいとの依頼があ…

函館本線121レ(3)

長万部駅を出ると、いよいよ函館本線の中で最も列車本数の少ない区間に入る。長万部・札幌間で、室蘭本線経由は「海線」、函館本線経由は「山線」と呼ばれるとおり、うねうねとした山越え路線だ。朝に比べると少し雲が増えてきて、ニセコや羊蹄山の頂上は雲…

函館本線121レ(2)

函館本線121レに乗る前の段階、青函連絡船に触れておこう。言うまでもなく、北海道と本州とを結んでいたこの連絡船も、青函トンネルの開通に伴い、1988年3月末に廃止されてしまったからだ。 とは言え、驚くほど記憶が希薄である。何しろ、30時間以…

函館本線121レ(1)

先日、寝台列車、客車が続々と廃止されていくことを嘆きつつ、新幹線の対極にある、最も情緒にあふれる列車として、「磐越西線235レ(列車)」の思い出を少し書いた(→こちら)。そうしたところ、一時代前の客車による鉄道旅行の記憶をもう少し書いておき…

フィラデルフィア管弦楽団とネゼ=セガン

既に2週間近く前の話になる。書いておこうと思いつつ、後回しにしながら今になってしまった。 6月22日の夜、Eテレでヤニック・ネゼ=セガン指揮、フィラデルフィア管弦楽団の演奏会を見た。ヤニック・ネゼ=セガンという知らない指揮者にも興味があった…

OECD教員調査と文科省

先週木曜日の新聞各紙に、OECDが34カ国の中学校教員を対象に行った「国際教員指導環境調査(TALIS)」の結果が載った。今更ながらに、日本の教員の労働条件の過酷さ、劣悪さがよく伝わってきた。いくつかの点を確認しておこう。 (1)勤務時間 …

日本社会党の教訓

安倍破廉恥内閣は、ついに集団的自衛権の閣議決定をした。自信満々、私が「憲法」と言わんばかりの安倍首相である。憲法改正をせずに集団的自衛権とは横暴であり拙速だが、これでもずいぶん手間をかけた、と思っていることだろう。 それにしても公明党の不可…